空き地ではあるものの、さまざまな理由で利用しにくい土地がある。採石場(岩石採取場)もその1つだ。神奈川県と厚木市は、このような土地へのメガソーラー誘致に動き、県内の発電事業者の協力を得て、出力約2MWの発電所を2つ立ち上げる。
2013年7月に送電を開始した県央厚木第一発電所は、「かながわスマートエネルギー構想」を進める神奈川県と厚木市が連携し、民間事業者を誘致してできた、民間による県内初の太陽光発電所だ(図1、図2)。出力1.96MW、年間発電量として190万kWhを見込む。
同発電所は1972年から2005年まで岩石採取場だった民有地(厚木市上古沢)に建設された。岩石採取場は建築用の岩や石を掘り出すための施設である。跡地は丘を掘り起こしたような階段状の形状をしており、用途が限られる。そこで20人からなる地権者会が太陽光発電所を公募、厚木市がメガソーラー設置促進補助金2550万円を投じ、誘致をあっせんした形だ。
岩石採取場跡地は面積が14万6000m2もある。そこで、全体を2つの太陽光発電所に分け、2期に分けてメガソーラーを建設する。第1期では5万6420m2の土地のうち2万7730m2をメガソーラーに使い、1万4270m2を緑地に、2993m2を調整池に割いた(図3)。
同発電所の運営主体は神奈川電力。同社は遊技場向けのサービス機器を開発、販売するオーイズミの100%子会社として設立された電力専業の企業だ。地権者会と土地の20年間の賃貸借契約を結び、2012年12月に着工。造成工事に約1カ月を割き、設計・調達・建設(EPC)では地場の土木関連企業と協力、完成した。約8億円を投じた。
今後は、パナソニック環境エンジニアリングが管理・運営(O&M)を担う。発電した電力は固定価格買取制度(FIT)に従い、全量を東京電力に売電。年間約8000万円の売電収入を得る見込みだ。
「第一発電所の南側の土地は岩石採取場跡地として空いており、2013年春の完成に向けて、全く同じ規模の第二発電所を建設する。今後は神奈川県内を中心に各地でメガソーラー事業を拡大していく予定だ」(神奈川電力)。
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