電力会社からの契約変更を促進、「スイッチング支援システム」が2016年に稼働動き出す電力システム改革(12)(2/2 ページ)

» 2014年07月03日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
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システムの開発会社を2014年10月に決定

 たとえ電力会社の小売事業部門であっても、スイッチング支援システムを経由しなければ、送配電事業部門とのあいだで顧客情報のやりとりも契約変更の手続きもできなくなる。従来のように発電・送配電・小売を一体にした電力会社の事業展開は2016年の小売全面自由化をもって、システムの点でも不可能になるわけだ。

 ただしスイッチング支援システムで提供する需要家の情報は、小売事業者が必要とする最低限のデータに限定する。契約電力やメーターの種類、直近13カ月分の使用量などが含まれる(図3)。さらにスマートメーターが設置されている場合には、需要家の承諾をもとに30分単位の使用量のデータを小売事業者にも提供できるようにする。

図3 スイッチング支援システムが提供する情報(低圧の場合)。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 すでに広域的運営推進機関(略称:広域機関)の設立準備組合がスイッチング支援システムの開発会社の公募を開始して、15社が提案の意志を表明した。各社からの提案を受けて2014年10月中に開発会社を決定する。その後に開発作業に入り、2016年4月に稼働させる計画だ。

 一方で電力会社の送配電事業部門もスイッチング支援システムに対応した機能を用意する必要がある(図4)。すべての送配電事業者が同じ形式で情報を処理できるように、広域機関が開発するシステムと連携する部分は仕様を標準化して統一することになっている。

図4 スイッチング支援システムの機能と処理の流れ(画像をクリックすると拡大)。出典:広域的運営推進機関設立準備組合

 小売の全面自由化を促進するための仕組みは、全国統一で広域機関が中心になって整備していく。全国レベルの需給調整を図る役割と合わせて、広域機関と送配電事業者のあいだの円滑な連携が改革の大きなカギを握っている。

第13回:「電力の需給調整を担う広域機関、中立性を重視した体制とルール」

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