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» 2015年04月16日 13時00分 UPDATE

自然エネルギー:再生エネ導入量全国1位の福岡県、躍進を支える「地方主導」の力 (4/4)

[陰山遼将,スマートジャパン]
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エネルギー利用の効率化へ、スマートグリッドは経済性が課題

スマートジャパン 今後の福岡県のエネルギー政策に関する指針について教えてください。

丸林氏 福岡県として、つまり地方としてエネルギー問題に対してどう取り組んでいくべきなのかを産学官で検討するために、2013年に「福岡県地域エネルギー政策研究会」を立ち上げました。2013〜2015年にかけて全15回の研究会を開催し、そこでさまざまな意見交換を行ってきました。2015年3月5日には、同研究会での検討事項の内容をまとめた報告書も公開しています。

 地域の取り組みとしては、今後さらにエネルギーを無駄なく活用する方法を追求してかなくてはなりません。エネルギー価格は非常に不透明ですが、その価格変動は産業競争力にも直結する問題でもあります。地域の産業をいかに守っていくかを考えた場合、やはりエネルギーを効率良く利用するための取り組みは進めていく必要があります。

 こうしたエネルギーの需要だけでなく、供給についても地域としてもっと考えていかなくてはならないなと思います。研究会では原発問題と向き合うべきという意見も出ています。その一方で、やはりエネルギーの供給源を一部の方法に頼ってしまうのは危険な面もあるかもしれない。するとエネルギー供給の多様化や分散化をもっと進めていかないといけないのではないかという意見もあります。

スマートジャパン エネルギー利用の効率化というと、スマートグリッドなどのICTを活用した技術についてはどう捉えているのでしょうか。

丸林氏 研究会からもそういった新たな技術の活用を推進すべきという提言が出ています。しかしスマートグリッドやスマートコミュニティの実現において課題となるのが経済性の部分です。なかなか採算が取れないことが多い。現在、福岡県みやま市が経済産業省の「大規模HEMS情報基盤整備事業」に参画しています。これは約2000世帯にHEMSを設置し電力使用量データを基に電気料金の最適化や、高齢者の見守りサービスなどを提供するという実証実験(図8)です(関連記事)。

rk_150416_fukuoka10.jpg 図8 みやま市で行われている実証実験の概要 出典:みやま市

 スマートグリッドはエネルギーを効率良く運用するために考えられたものです。このみやま市の実証実験のように、集めた電力の使用データを活用してサービスを提供する電力事業者以外の企業が参入して、新たなビジネスを生むことが経済性の問題を解決する1つの手段になるのではないかなと考えています。

 水素に関する取り組みや、再生可能エネルギーの導入、地域への企業誘致など、これらは全てすぐに大きな結果が出るものではありません。福岡県としては時代に合わせた指針をしっかりと明示し、その都度最適な取り組みを推進していくことが重要だと捉えています。また今後は風力発電や燃料電池など、産業として裾野が広い分野への取り組みを進めることで福岡のエネルギー関連産業をより発展させていくことも重要だと考えています。

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