「直流エアコン」がついに発売へ、12月にシャープが業界初省エネ機器(2/2 ページ)

» 2015年11月30日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]
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DCハイブリッドエアコンはHEMSや蓄電池とのセット販売

 シャープでは、DCハイブリッドエアコンシリーズとして、冷房能力が7.1kW(キロワット、主に23畳クラス)の「JH-D716J2」と、5.6kW(主に18畳クラス)の「JH-D566J2」、4.0kW(主に14畳クラス)の「JH-D406J2」の3機種を用意。希望小売価格は7.1kWが69万円(税別)、5.6kWが59万円(同)、4.0kWが52万円(同)となっており、DC対応機能がない通常のエアコン製品と比べてそれぞれ20万円以上も高額となっている。

photo 図2 DCハイブリッドエアコンのシステムイメージ図(クリックで拡大)出典:シャープ

 同社では「個別で価格設定はしているが、基本的には単体で販売する製品ではなく、クラウドHEMSやクラウド蓄電池システムなどと組み合わせて使う製品だと考えている」(シャープ広報)としている。セット販売の価格は、4.0kWのDCハイブリッドエアコンとクラウドHEMS、パワーコンディショナー、リチウムイオン蓄電池システム、HEMSモニター、センサーやケーブル類などを合わせて267万5000円と設定されているという。

 セットで導入することで、深夜の割安な電力を蓄えて、電気代が割高な時間帯に使用することが可能となる他、時間帯や太陽光発電の状況、蓄電池の残量などに応じて、DC/ACを自動で切り替えて最適な運転を行えるようになる。

 これらのセットシステムに太陽光発電システムを組み合わせたシャープ内の実証試験では、太陽光発電システムの売電料金と自家内活用、DCハイブリッドエアコンの省エネ効果、蓄電池による夜間電力による電気料金削減などを組み合わせ、年間で24万円の電気料金削減効果を得ることができたという。

 ただ、先述したセットシステムの価格と太陽光発電システムを設置する価格を足すと300万円台後半から400万円規模の費用が掛かることになり、年間24万円の削減効果を順調に得られたとしても、回収には16〜17年はかかる見通しだ。

ZEHへの動きがポイントに

 これらの回収期間を考えると、現状の枠組みで既築家屋への販売については現実的には難しいことが考えられる。そこでポイントになるのがZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)である。ZEHとは、住宅の年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロとなる住宅のことで、政府の方針で「2020年までに標準的な新築住宅でZEHを実現」と「2030年までに新築住宅の平均でZEHを実現」という目標が掲げられている。

 ZEHを実現するためには「電力使用量以上に発電する」ということも考えられるが、ZEHロードマップ検討委員会などが検討を進めている中での定義では、まず「20%以上の省エネ」が条件とされるなど、使用エネルギーの削減も大きなテーマとなっている。「直流家電」はこのZEHの省エネ条件に対して大きな効果を発揮することが予測される。

 2015年11月26日に行われた政府と民間の「未来投資に向けた官民対話」では「2020年までに、ハウスメーカーなどの新築戸建の過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化する」という話も出ており(関連記事)、ZEH化の動きに対する直流家電の動きに注目が集まっている。

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