太陽光と水素炎に含まれる紫外線には違いがある。太陽光はオゾン層を通過して地表に到達する。この時に短波長の紫外線は吸収されてしまう。一方地上で発生する水素炎には、短波長の紫外線も含まれている。これをセンサーで検知することで、太陽光に影響されることなく見えない水素炎を検知する仕組みだ(図2)。
開発した水素炎センサーは10メートル以上先のライターの炎でも瞬時に検知できる。パナソニックが持つセンサー技術を組み合わせて開発した製品だという。小型なのも特徴で、水素ステーションに取り付けやすくした。既に量産体制に入っており、引き合いも多いという。水素ステーションの他、水素を利用する施設向けに販売していく計画だ。
水素炎センサーは今現在のニーズに向けた製品だが、展示ブースでは水素利用がより一般的となった未来の社会を意識した製品も参考出展した。1つが現在研究開発を進めている純水素燃料電池だ(図3)。
現在普及が進んでいる家庭用燃料電池「エネファーム」は、都市ガスを改質して取り出した水素で発電する仕組みだ。一方、純水素燃料電池は水素インフラの整備が進み、家庭などにも水素が直接供給される未来(2030年ごろ)をイメージした製品で、水素で直接発電して電力を生み出す。パナソニックは再生可能エネルギーによる水素製造技術の研究も進めており、こうした水素と純水素燃料電池を使えばCO2フリーな社会が実現できるというコンセプトだ。
同社では純水素燃料電池の実証を2012年から山梨県で開始している。今後も実証を継続して、2020年ごろには実用化のめどを立てたいという。
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