アップルはさらに自社施設だけでなく、サプライチェーン全体のCO2排出量削減にも積極的に取り組んでいることが特徴である。
アップルは自社での生産工場を一部を除いて持たず、生産を鴻海(ホンハイ)精密工業グループのフォックスコンに委託するなど、ファブレス型のビジネスモデルを中心としているが、中国では、製造工程におけるCO2排出量の相殺を進めるために、内モンゴル自治区での170MW(メガワット)のソーラープロジェクトなど、200MWの太陽光発電施設を建設中である(図2)。
また、全世界で4GW(ギガワット)以上の新しいクリーンエネルギーを導入できるようにサプライヤーとの連携を続けているという。さらに今後2年間では、フォックスコンが400MWのソーラーエネルギーを導入し、鄭州にあるiPhoneの最終製造施設でのエネルギー使用量をまかなう予定とするなど、積極的な投資を進めている。
アップルでは製品の使用時の電力削減にも積極的に取り組んでおり、MacOSの省エネ機能の強化などの他、MacBook Airの消費エネルギーは、初代のモデルと比べて52%を低減。実際に2008年からApple製品による平均消費総電力を64%削減することに成功したとしている。また、調達に際してもより省エネ性が高い部品の採用などを行うことを明言している。
アップルの2015年のカーボンフットプリント(原材料の調達から生産、廃棄、リサイクルまで企業活動の全ての取り組みをCO2排出量で示す数値)の総計3840万トンだったとしている。その内、製造による排出が77%、製品の使用による排出が17%で非常に大きい。カーボンフットプリントとして、非常に小さい自社施設からの排出だけでなく、これらの製造や製品による排出も抑えることで、地球環境への貢献を高めていく姿勢を示している(図3)。
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