「ずっと基本料金無料」を7エリアで展開へ電気料金の新プラン検証シリーズ(35)(1/2 ページ)

Looopは、低圧向けの電力小売事業「Looopでんき」の販売エリアを拡大。これまでの東京電力、中部電力、関西電力管内の3エリアに加え、東北電力、九州電力、北海道電力、中国電力管内の4エリアで新たにサービスを開始する。

» 2016年08月05日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 東日本大震災を契機に生まれたエネルギーベンチャー企業であるLooopは、自然エネルギーの利用拡大を目指し、太陽光発電パネルなどの部材開発から、EPC(設計・調達・建設)事業、保険やメンテナンス・運用などの保守・管理事業、電力小売り事業までを一気通貫で展開してきている。これらの一貫したソリューションを提供することで、さまざまなコストの低減を実現し、業界の価格破壊やサービスの多様化などを実現してきた。

photo Looop代表取締役の中村創一郎氏

 同社社長のLooop代表取締役の中村創一郎氏は「Looopは業界における『新たな常識』を作り出してきた。その原動力は『チャレンジ』を推奨する文化にある。例えば、太陽光発電を例とすると、部材開発から調達、設計・申請、施工、O&M、電力販売まで、エネルギーにかかわる全てのサプライチェーンを垂直統合的に自社内で全て取り組んでいる。こうした企業は日本では他にない。こういう取り組みで価格破壊などを実現してきた」とLooopの強みを述べている。

Looopでんきは申込数が2万1000を突破

 電力小売りについては、2015年12月に特別高圧と高圧部門で参入。徐々に供給エリアを拡大し、現在は東京、関西、東北、中部、九州、北海道、中国の7エリアの電力管内で販売を行っている。現在までのところで約90MW(メガワット)規模、年間売上高で40〜50億円規模の供給実績を持つとしている(図1)。

photo 図1 Looopの特別高圧・高圧向けの電力小売りの実績(クリックで拡大)出典:Looop

 低圧向けについては、2016年3月に基本料金無料の「Looopでんき」を発表。家庭向けの「おうちプラン」と業務用の「ビジネスプラン」を用意したが、どちらも基本料金は無料で一律の従量課金としたシンプルな料金プランを展開した(関連記事)。

 基本料金を無料にすると「低容量利用者ばかりが集まった場合や、託送料金の動向次第では、赤字となる可能性があり、ビジネスリスクがある」(Looop 執行役員 電力事業本部 本部長 小嶋祐輔氏)とし、当初は2016年5月30日までの期限を設けていたが、「開始後4カ月の動向を見て、ほぼ問題ないことが見えてきたので無期延長という形にしている」(同氏)という(図2)。

photo 図2 「Looopでんき」のロゴ 出典:Looop

 自社で建設・設置した太陽光発電設備からの電力調達などを効果的に生かすことで、26%をFIT電気と水力からまかなっている再生可能エネルギーによる電力を多く含む電力を供給。価格メリットとの両立を実現している(図3)。

photo 図3 低圧向けでの電気料金の比較。基本料金が無料であるため全価格帯で東京電力従量電灯Bと比べると安くなる(クリックで拡大)出典:Looop
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