高山市の木質バイオマス発電事業は市内の企業や個人が2015年10月に設立した「飛騨高山グリーンヒート」が中心になって運営する。発電設備の設計・施工は全国各地で再生可能エネルギー事業を展開する洸陽電機が担当する一方、燃料の木質ペレットは高山市を中心に地元産の「飛騨高山ペレット」を販売する木質燃料が供給する体制だ(図5)。
総事業費は1億3000万円で、そのうち2200万円を岐阜県の「木質バイオマス利用施設導入促進事業」の補助金でまかなう。地元の金融機関から融資を受けることも決まっている。固定価格買取制度では間伐材などの未利用木材を使って発電した電力の買取価格は40円(発電能力2000kW未満の場合)になる。年間に120万kWhを売電すると4800万円の収入を得られる見込みだ。
木質バイオマス発電設備にはドイツのブルクハルト社が開発・販売する熱電併給(コージェネレーション)システムを採用した。この熱電併給システムは木質ペレットを燃焼させてガスを生成するガス化ユニットと、生成したガスを使って発電する熱電併給ユニットで構成する(図6)。
ガス化ユニットでは生成したガスを冷却する時に排熱が発生し、熱電併給ユニットでは発電で生じる排熱を外部に供給できる。燃料のエネルギーを電気エネルギーに転換できる割合は30%で、さらに熱として利用できるエネルギーの割合が45%になる。合わせてエネルギー効率は75%に達する。地域の間伐材を利用したエネルギー地産地消のメリットを最大限に発揮できる仕組みである。
小型のシステムで大きな設置スペースを必要としない点も特徴だ。ガス化ユニットは長さ5.3×幅2.5×高さ4.5メートルで、熱電併給ユニットは長さ3.8×幅1.7×高さ2.6メートルである。重さは2つのユニットを合わせて10.6トンになる。
ヨーロッパでは木質バイオマスをガス化して電力と熱を供給する小型の木質バイオマス発電システムが広く普及している。日本国内でも最近になって長野県や秋田県などで導入事例が増えてきた。熱を有効に利用できる公共施設や商業施設のほか、ビニールハウスで農作物を栽培する農園にも向いている。
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