――独創的なサービスで躍進するみんな電力ですが、なぜこうしたサービスを実現することができたのでしょうか。
大石氏 私の根底にあるのは、「みんなで電気を作って、その電気を自分の価値感にもとづいて売れたら面白いんじゃないか」という発想です。根本から発想が違うので、他社さんが安売り競争をやっても、セット売りを始めても動じることはありませんでした。
今でこそ、大手電力会社をはじめ多くの企業が、ブロックチェーンP2P電力取引の実用化に向けた取り組みを進めていますが、当社がいち早く商用化を実現できた背景には、こうした発想の違いがあるといえるでしょう。また、コンセプトに賛同してくれる企業と業務資本提携を結び、サステナブルな社会を目指す、いわば再エネ連合軍として歩んでこれたのも大きかったです。
――再生可能エネルギーへのこだわりは、どこから来ているのですか。
大石氏 コンセントの向こうには、必ずどこかの発電所があって、送配電事業者がいて、小売電気事業者がいて、お金が流れています。中東から運ばれてくる石油を使い、CO2を出しながら発電し、最終的にはアラブの石油王の懐にお金が入っていくようなシステムが良いのか。あるいは、福島復興のために頑張っている発電事業者に電気代を払えるような仕組みが良いのか。
私なら、故郷である東大阪市の町工場で太陽光をやっているような方々に電気代を払いたいと思います。そんなふうに電気代を払える仕組みを作りたいと考えて、ずっとやってきました。楽しく再エネを広めながら、結果的に世の中が変わっていく……そんな流れをつくれたら素晴らしいですね。
――みんな電力は、この先どこに向かっていくのでしょうか。今後のビジョンをお聞かせください。
大石氏 最終的には、電気だけにとどまらず、「顔の見えるライフスタイル」全体を提案していける会社を目指しています。食べるもの、住んでいるところ、着ているものなど、「顔の見える電力」を入り口に、ライフスタイル全般に関わっていきたい。
再エネに環境価値があるように、手間暇かけて育てられたオーガニック食品には相応の価値があるように、埋没していた価値を顕在化させていきたいのです。それが価格に反映されて、生産者もフェアに評価され、買っている人もフェアにその価値を享受できる……そうした仕組みづくりに挑みたいと考えています。
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