2023年度に「長期脱炭素電源オークション」が始動、対象電源と制度設計の詳細は？：エネルギー管理（2/4 ページ）

[梅田あおば，スマートジャパン]

制度の対象とするkWの範囲は？

　また投資回収の予見可能性という観点から、本制度措置の対象とするkWの範囲が論点とされる。

　アンモニア・水素混焼を前提としたLNG火力の新設・リプレース案件については、LNG部分についても2050年に向けた脱炭素燃料専焼化を求めることや、LNG部分も新たな供給力となることから、図2の案1のように、発電所の設備容量全体のkWを本制度措置の対象とする。

図2.新設電源　本制度措置対象とするkWの範囲　出所：制度検討作業部会

　アンモニア・水素については、その由来（化石燃料由来、再エネ電力による水電解等）により「グリーン」、「ブルー」、「グレー」と大別される。

　長期脱炭素電源オークションにおいては、当面の間、由来を問わず、すべてのアンモニア・水素が対象とされる。

バイオマス（混焼、既設の改修）新規投資

　バイオマス発電についても専焼・化石燃料混焼いずれの形態もあり得る。しかしバイオマス発電では、10万kW超の大規模な専焼電源がすでに建設中であるなど、専焼化に向けた技術的な課題が存在しないことを踏まえ、専焼案件のみが長期脱炭素電源オークションの対象とされる。

表2.バイオマス発電の対象可否判断　出所：制度検討作業部会

　なお上述のとおり、既設火力の改修案件は短期的な供給力の増加には寄与しないことから、既設火力の改修案件には募集上限を設けることが事務局から提案されている。