現行の容量市場のように、入札から4年後に供給力の提供が必要である場合、新設電源においては、建設リードタイムが短い簡易な電源しか入札することができなくなると予想される。
よって、本制度措置によって様々な脱炭素電源への投資を促進するためには、電源ごとの建設リードタイムを十分に考慮した制度設計とすることが必要となる。
他方、供給力確保の観点からは、必要以上に長い建設リードタイムを認めるべきではないことから、電源種毎に供給力の提供開始を求める期限を設定し、それまでの間に供給力の提供を求めることをリクワイアメントとして設定することする。
なおLNG火力については、早期の供給力提供を目的とした例外的措置であるため、供給力提供開始期限を6年と短く設定している。
表5では原子力の供給力提供開始期限は17年とされており、万一、原子力だけが落札した場合は、17年程度、供給力の増加が見込めないこととなる。
上述のとおり、既設火力の改修案件は短期的な供給力の増加には寄与しないことから、募集上限を設けることが事務局から提案されているが、これと同様に原子力にも上限を設けることが整合的であると言えるだろう。
制度適用期間は原則20年間(もしくはそれ以上の長期間)であるが、供給力確保の観点からは、供給力提供開始期限を超過した場合は、一定のペナルティを課すべきと考えられる。同時に、本制度措置によって建設された電源は、できるだけ長期に渡って供給力を提供することが望ましい。
よって実際の供給力提供開始時期から原則20年間(※)、供給力を提供することを落札者に対するリクワイアメントとして課す(※制度適用期間が20年超の場合は当該期間)。
また供給力提供開始期限を超過した場合はペナルティとして、本制度措置の落札価格を容量収入として得られる期間を超過期間分だけ短縮する。短縮した期間の容量収入は、現行容量市場の当該年度の落札価格とする(還付なし)。
長期脱炭素電源オークションは、2023年度の導入を予定している。本制度はスモールスタートとすることを予定しているが、落札電源が極端に偏ることにより、新たな課題が生じることの無きよう、慎重な検討が求められる。
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