蓄電池産業は、最上流の鉱物資源確保から、電池材料・電池セル・電池パック製造のサプライチェーンから構成されており、それぞれ求められる競争力も異なる。
蓄電池最終製品だけでなく電池材料においても日本企業は一定のシェアを持つものの、中国・韓国企業は、電池材料の品質面やシェアでも急速に追い上げている。
蓄電池の原材料となる鉱物資源「バッテリーメタル」の多くは、埋蔵量や生産量いずれもオーストラリアや南米・コンゴ民主共和国・インドネシア等の特定の国々に偏在している。また、それら原料の精錬工程は、製造コストの低い中国に集中する傾向がある。
なお蓄電池の負極の原材料である黒鉛は、埋蔵量の22%、生産量の62%が中国であり、日本は黒鉛輸入の92%を中国に依存している。
世界各国の蓄電池メーカーや自動車メーカーは、バッテリーメタルの権益獲得、大規模投資を進めている。
日本が2030年にグローバルで600GWh/年の製造能力を確保するためには、リチウム38万トン、ニッケル31万トン、コバルト6万トン、黒鉛60万トン、マンガン5万トンが年間で必要と試算されている。権益確保済み分を除き、新規権益確保へ必要とされる総投資額は2.2兆円に上る。
国はこれらの鉱物資源をハイリスク鉱種として、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)による出資比率の上限を75%まで引き上げることや、債務保証機能の強化等により、上流権益の確保に向けた支援策を強化するとしている。
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