再エネ普及の課題「地域社会との共生」、政府が導入する新ルールの方向性とは?法制度・規制(3/5 ページ)

» 2022年11月22日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

環境アセス対象案件における例外ルールを策定

 風力発電や地熱発電のように法や条例で環境アセスメントが求められる案件の場合、環境アセスが完了(もしくは一定程度進行)した時点で、ようやく発電設備の設置場所などの事業計画を確定させることが可能となる。

 仮に先述した1〜3の土地開発許認可取得を、一律にFIT/FIP認定申請要件とする場合、現実的には風力・地熱案件の開発が著しく困難となってしまう。

図3.森林法に基づく保安林指定解除手続の例 出所:再エネ長期電源化・地域共生WG

 同様の理由からすでに、土地の使用権原を証する書類に関するルールにおいては、例外措置が設けられている。

 再エネ特措法では、認定申請時に土地の使用権原を有する、または確実に取得できることを証する書類(売買契約書等)の提出が必要である。

 この例外として、環境アセスが求められている風力・地熱発電の場合、譲渡又は賃貸証明書添付により条件付きで一旦認定される。ただし、3年以内に土地使用権原書類を提出しない場合、その認定は取り消しされる。

 環境アセス対象となる風力・地熱発電ではこの例外措置を参考として、FIT/FIP認定後に土地開発許認可取得を認めるものとする。ただしFIT/FIP認定から3年以内に許認可を取得しない場合、その認定は取り消しされる。

 また土地開発許認可取得前に開発行為に着手することは違法であるため、環境アセスの如何を問わず、許認可取得前に開発行為に着手した場合、認定は取り消しされる。

 なお改正温対法では、環境に適正に配慮し地域に貢献する再エネ事業の導入を促進する「地域脱炭素化促進事業の対象となる区域」が設定されている。

 このような促進区域では元々、土砂災害等のリスクを回避しているため、再エネ特措法の認定申請においても、手続き厳格化の例外とする予定である。

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