「水素・アンモニア」の低炭素基準を設定へ――どこからグリーン・ブルーなのかエネルギー管理(4/4 ページ)

» 2022年11月24日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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サプライチェーンの種別と国内水素・アンモニア事業への支援策

 CfD制度は水素・アンモニアの供給事業者を支援するものであるが、具体的なサプライチェーン構築に関しては、その製造/販売の違いや、国内/海外の違いなどにより、さまざまなスキームが想定される。

 供給業者は代表的な例として、「1.自ら製造・輸送し、需要家に販売するタイプ」「2.第三者から調達した水素等を需要家に販売するタイプ」「3.自ら製造・輸送して自ら使用するタイプ」が想定される。

図6.サプライチェーンのタイプ別支援対象 出所:水素政策小委員会

 タイプ1(パターン2)は、水素等の製造場所が国内/海外いずれであっても、供給業者はリスクを取った大規模投資を行うものであるため、優先的にCfD支援制度の対象とされる。

 これに対して、海外から水素等を調達するタイプ2の仲介事業者は、1と比べると相対的に投資リスクが低いことや、エネルギーセキュリティへの貢献が相対的に小さいことなどが考慮される。

 またタイプ3については、もっぱら自家消費であるため、水素等を広く社会に普及させる点ではタイプ1に劣後すると言える。しかしながら、黎明期に自らが最初のオフテイカーとなることは十分合理的と考えられるため、外部に他社需要家が現れた際に適切に取引に応じることを前提として、CfD支援制度の対象とする。

 現実的には、子会社等の別法人を利用するケースや別燃料に再合成するケースなど、複雑なスキームが生じ得ることから、案件に即して個別に検討する必要があるとされている。

国内水素・アンモニア事業への支援

 水素・アンモニアの黎明期には、「ブルー」が「グリーン」よりも低コストと考えられているが、将来的にはグリーン水素・アンモニアが低コスト化すると期待されている。

 この場合、再エネ電力のコストと供給量の観点から、国内でのグリーン水素等の生産は海外と比べて相対的に不利になると懸念される。

このため、国産の水素・アンモニアであることを表示するラベリング制度により、安定供給への貢献を含めた「付加価値」を評価・換算する仕組みが提案されている。

 ただし、事業者はこのようなラベリング制度が無くとも、積極的に「アピール」することが予想されるため、付加価値を金銭換算することの是非が今後の焦点になると考えられる。

 エネルギーセキュリティやレジリエンスの観点からは、国内外に多様なサプライチェーンが構築されることが期待される。

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