再エネ・蓄電池等の分散型リソースを有効利用へ、系統への活用法を検討エネルギー管理(2/5 ページ)

» 2023年01月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

機器点からの調整力供出量の考え方

 まず機器個別計測の対象となるリソースは、自家発や蓄電池・EVなどの発電/放電するリソース(以下、発電リソースと呼ぶ)と、生産設備等の需要負荷リソースに大別される。

 発電リソースは発電BG(バランシンググループ)に所属し、需給調整市場を介して調整力を提供する場合は調整電源BGを組成し、発電計画との差分が調整力として評価される。

 ここで図3の左列は、通常時の発電量が250の自家発Gが、270へ出力を増加させ、調整力を供出するイメージを描いている。これにより系統への物理的な逆潮流は70へと増加する。

 もし、この増加分20を「外部に供給力として販売」もしくは「構内で自家消費」するならば、調整力供出との「二重取り」が生じてしまう。このため受電点メーター計量値に補正(70→50)を加えることにより、二重取りを防止する。

図3.機器点から発電(放電)する類型 出所:次世代の分散型電力システムに関する検討会

 ここで論点となるのが、「ネガワット調整金」の取り扱いである。

 一般的な下げDR(ネガワット創出)を実施する場合、小売電気事業者の販売量が減少してしまうため、その売上を補填する意味から、アグリゲーターが小売電気事業者にネガワット調整金を支払うこととされている。

 これに対して機器個別計測(発電・放電)の場合、受電点メーター計量値の「補正」を行うことにより、供給元小売電気事業者は当初予定通りの電気50(図3の右列)を販売したことになることから、ネガワット調整金は不要と整理される。

 また需要リソースは需要BGに所属し、需要家リスト・パターンごとに「基準値」を設定し、それとの差分が調整力として評価される。

 機器点での需要負荷抑制の場合、二重取りが生じないことから受電点メーターでの計量値補正は不要である。このため、供給元小売電気事業者は販売量が減少するため、ネガワット調整金が必要となる。

図4.機器点での需要抑制イメージ 出所:次世代の分散型電力システムに関する検討会

 なお機器個別計測の対象となる機器点からの調整力供出分を把握するため、1需要場所ごとに調整力契約もしくは発電量調整供給契約等を求める方向性が示されている。

 機器個別計量のための発電量調整供給契約を設定したとしても、機器個別計測での調整力供出は1需要場所ごとの契約に基づいて精算されると同時に、託送料金は受電点での接続供給契約に基づいて精算されるため、「1需要場所・1引込・1契約・1計量」を維持できると整理されている。

 また発電(放電)リソースについては、複数のリソースを束ねた計画値(≒BG)から調整力を供出できるよう、今後、運用面やシステム面も踏まえて実現方法が検討される予定である。

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