再エネ・蓄電池等の分散型リソースを有効利用へ、系統への活用法を検討エネルギー管理(3/5 ページ)

» 2023年01月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

DER活用による系統混雑の緩和

 配電系統へ太陽光発電(PV)の連系量が増加するに従い、逆潮流による系統混雑や電圧逸脱等が生じることが懸念されている。同様に、EV用の超急速充電器(250kW程度)についても、急峻な充電特性によって配電系統に大きな影響を与える可能性が高いと考えられている。

 この対策の一つが系統増強であるが、配電線の太線化や配電用変電所の増強には一定の費用と工事期間が必要となる。

図5.PV大量連系時(逆潮流)のイメージ 出所:関西電力送配電

 そこで混雑回避の新たな対策として、DERの活用が期待されている。例えばPVの集中により系統混雑の発生が見込まれる場合、同系統内にあるDERの需要を上げること(上げDR)により、混雑を回避することが可能となる。

 エリア全体の需給バランスを維持するためにも、DERは当然活用が可能であり、この場合、DERはエリア内のどの場所にあっても構わない。

 ところが系統混雑の解消に活用できるDERは当該系統に接続しているリソースに限られるため、一般送配電事業者が当該DERを制御するためには、DERの位置情報が不可欠となる。また配電系統では、停電や工事によって日常的に系統切替を実施しているため、必要なタイミングでDERの活用が出来ないことも起こり得る。

図6.DER活用による系統混雑回避 出所:関西電力送配電

 このようなDERの調達や管理・運用を行うものが「DERシステム」である。なお東京電力パワーグリッドでは、既存の全国市場(JEPXや電力需給調整力取引所)とは別に、新たに分散エネルギー取引市場を創設することを提唱している。

 一般的に配電用変電所の増強工事には数年程度を要し、費用も高額であるのに対して、配電線の増強工事は数週間〜数カ月で実施可能であり、費用も変電所の1〜2割程度である。

 このため配電レベルでは、系統増強コストとDER調達コストを比較し、十分な費用対便益が得られるか否かの評価が重要となる。

図7.DERシステムによるDER運用等イメージ 出所:関西電力送配電

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