オークション応札価格を、①0円、②0円超〜Net CONEの50%以下、③〜Net CONE以下、④Net CONE超の4つに区分にした応札価格の分布は、図4のとおりである。
容量市場オークションでは、運転を継続することが決定している電源は、確実に落札するため0円で入札することが経済合理的である。このため、2022年度には応札電源の75%が「①0円」で応札しているほか、他の区分ではほぼ全量が「①0円」で応札していることが分かる。
これを裏返せば、25%の電源はオークションの結果次第では、休廃止を検討する可能性があることを示唆している。
この結果、全国の応札価格の「加重平均」は、1,634円/kWであった。
本稿冒頭の表1で、東京のエリアプライスが5,834 円/kWとなったことをお伝えしたが、これは容量市場オークションがシングルプライス方式で約定処理されるためである。JEPXのスポット市場において、需要曲線と供給曲線が交差する限界電源の応札価格にて約定されることと同じ方式である。
上述のとおり、2022年度メインオークションでは市場分断が発生した。約定処理の流れは、図5のとおりである。
まず第一段階として、需要曲線と供給曲線の交点における全国の供給信頼度(EUE)は0.022kWh/kW・年となった。EUEとは年間供給力不足電力量≒停電量の期待値であり、大きい値は停電リスクが高いことを意味する。
この0.022よりEUEが大きい(つまり供給力が不足する)エリア・ブロックに対して、電源の追加処理を行い、不足ブロック(エリア)で全国の供給信頼度0.022を満たすまでこれを繰り返す。
また今回の北海道・九州エリアのように、市場競争が限定的となっているおそれがあるエリアでは、隣接するエリアプライスの 1.5 倍を当該エリアのエリアプライスと設定する。
これを上回る価格で応札した電源等については、マルチプライス方式を適用し、それぞれの電源等の応札価格がそのまま約定価格となる。
この結果、各エリアの供給信頼度は表3のようになった。なお表3の「調達量」には、事前に需要曲線に織り込む「FIT電源の期待容量」や「追加オークションで調達を予定している供給力」の合計2,427万kWが含まれている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.