太陽光パネルの廃棄が課題に、急がれる再エネ設備の廃棄・リサイクル制度設計太陽光(3/4 ページ)

» 2023年05月11日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

諸外国の太陽光パネル処理に関する制度

 EUでは、改正WEEE指令により使用済太陽光パネルのリサイクルが義務化されたことを背景に、各国でWEEEに対応した指令国内法が整備されている。

 フランスでは、太陽光パネル製造事業者に拡大生産者責任を課し、製造者は太陽光パネルの販売時に収集・適正処理費を消費者から徴収している。また、Soren(旧PV CYCLE France)は使用済太陽光パネル適正処理のためのフランス政府認可団体として、フランス国内の回収、リサイクルを一元管理している。

 また、韓国では2023年に拡大生産者責任規制が施行予定であり、使用済太陽光パネルの回収とリサイクルに関する負担金が新設された。

太陽光発電の「不適切な放置」への対策

 2022年7月以降、改正再エネ特措法では、10kW以上の事業用太陽光発電設備に対して、廃棄等費用の積立を求めており、原則、外部積立制度により一定額の廃棄等費用が担保されている。

 しかしながら、災害や故障により破損した太陽光発電設備を修繕しないまま事業を中断し、長期間放置するケースも生じており、地域住民からの不安や懸念の声が寄せられている。

図7.太陽光発電の事業プロセスと対応法令 出典:再エネ発電設備の廃棄・リサイクル検討会

 なお、発電事業を廃止し電気系統の接続が切れた場合でも、太陽光パネルの受光面に光が当たると発電可能な状態が継続されるため、直ちに「廃棄物」には該当しない場合が多く想定される。このため、発電事業廃止後に危険な状態のまま放置されることがないよう、専門知識を持った者による安全な取扱いや、解体撤去事業者等への適正な引渡しが徹底されることが重要である。

 今後、発電終了後の事業廃止のタイミングと廃棄物該当性の判断との間の「ギャップ」が生じないよう、制度間の連携強化について検討を行う予定である。

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