2023年度は容量市場の追加オークション(実需給2024年度)の開催の有無が判断さることになっているが、政府はこのほど「実施しない」という判断を下した。2024年度の電力需給の見通しとともに、追加オークションの開催を見送った背景について解説する。
2024年度から、容量市場制度による初めての供給力(kW)受け渡しが開始される。その前年にあたる今年2023年度は、容量市場の追加オークション(実需給2024年度)の開催の有無が判断されることとなる。
4月に開催された資源エネルギー庁「制度検討作業部会」の結論としては、実需給2024年度分では「調達」「リリース」のいずれも追加オークションを実施しないと判断された。
2020年に開催された2024年度実需給向けメインオークションでは、約定価格が上限に張り付き、供給力の不足が懸念されたが、現時点、2024年度の供給力需給バランスはどのように見込まれているのだろうか。2020年度以降に生じた変化を見てみよう。
2023年度供給計画に基づく2024年度の全国H3需要(離島除き) は1億6,167万kWとなり、2020年度メインオークション時点より約406万kW(+2.6%)増加している。
これを元に追加オークションの目標調達量を算定すると、1億8,053万kWとなり、2020年度メインオークションの時点より約306万kW増加することとなる(表1でAXはオークションの略)。
なお広域機関において、容量市場におけるEUE算定方法の見直しが行われたが、2023年度追加オークションでは、必要供給力の見直しによる増加分を調達量に含めずに、開催判断を行う(つまり、従来のEUE算定方法に基づき算定する)ことと整理されている。仮にEUE算定方法見直しを反映した場合の目標調達量は1億8,626万kWであるため、今回の目標調達量は約573万kW過少となっている可能性がある。
なお表1では、重負荷期の必要供給力(H3需要)が増加したため、確保する供給設備量が増加したことにより、「追加設備量」として確保する量は238万kW減少した。
需要曲線のNetCONEについては、最新の経済指標をもとに算定を行うことと整理されており、表2の赤枠部分(インフレ率)を反映すると、新たなNetCONEは10,120円/kWとなった。2020年度メインオークションで算定されたNetCONE 9,425円/kWと比べ、695円/kW(7.4%)の増額である。
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