容量確保契約のうち、発動指令電源については、実効性テストにより十分な供給力を供出できるかどうか評価を行う必要がある。
2020年度メインオークションでは、契約数128件・契約容量415万kWの発動指令電源が約定していたが、このうち22件・11.6万kWの契約が電源等リストの未提出により、市場退出することとなった。電源等リスト未提出の理由としては、応札時点で獲得を見込んでいたリソースの失注や事業者間で見込みリソースが重複していたことなどが報告されている。
また、実効性テストにおける未達容量は91万kWとなった。他方、実効性テストにより契約容量を超えた容量は29万kWであり、この部分は追加オークションへの参加も可能となる。
以上より、発動指令電源のメインオークション時の契約容量からの市場退出容量は合計で約102万kWとなり、市場退出率は約25%に上る。
安定電源・変動電源のメインオークション時点の契約容量は1億6,354万kWであったが、このうち105万kW(0.6%)が容量市場からの退出を表明した。追加オークション開催判断前のタイミングでの市場退出には、「約定価格(円/kW) × 5% × 市場退出容量(kW)」の経済的ペナルティが科されることとなる。
またFIT電源等の期待容量はメインオークション時点で1,179万kWであったが、最新諸元(導入量・調整係数)の反映により、200万kWの増加となった。
これら供給力の増減により、現時点、1億7,941万kWの供給力が確保されていると判断された。これはメインオークション時点の供給力と比べ、7万kWの減少である。
追加オークションの開催判断については、エネ庁の「制度検討作業部会」や広域機関の「容量市場の在り方等に関する検討会」において、次のように整理されている。
- 追加オークション前の供給力確保量が目標調達量未満の場合(図2のピンク色の領域)⇒ 調達オークションを開催
- 調達価格ゼロにおける調達量を超える場合(図2の水色の領域)⇒リリースオークションを開催
- その中間となる(図2の白い背景の領域)、目標調達量を超える場合⇒需給の状況を踏まえて、調達オークションの開催の要否を判断
今回、最新の供給計画や経済指標等にもとづき作成される需要曲線(図2の青線)と、確保されている供給力(1億7,941万kW)の位置関係を図2で表すと、目標調達量と上限価格における調達量を結ぶ線から約29万kW内側に位置しており、追加オークション(調達オークション)を開催する領域(ピンク色背景の領域)にあることが確認された。
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