実態調査で見えた電力卸取引の現状、契約期間や販売メニューの傾向が明らかに法制度・規制(3/5 ページ)

» 2023年06月15日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

卸取引における転売禁止条項の実態

 現在行われている卸取引においては、転売禁止や購入可能量上限、エリア外への供給制限などの条件が設定されているものがあり、こうした条件は競争制限的である、という指摘がある。

 発電事業者に対するアンケートの結果、図5のように、購入上限や転売禁止条項を設ける事業者は少数との結果であった。なお、小売電気事業者に対するアンケート調査票には同じ設問が無いため、転売禁止等の条件のもとで契約する小売事業者がどの程度存在するかは不明である。このような事実確認については、売り手側・買い手側の回答を突合・比較するため、なるべく双方に同じ質問を設けることが望ましいと考えられる。

図5.卸供給契約における転売禁止条項等の有無 出典:電力・ガス基本政策小委員会

 卸供給契約において、発電事業者が購入上限を設ける理由としては、

  • 複数年契約の交渉では、燃料の長期にわたる引き取りを確約するにあたり、電力引取の蓋然性が非常に重要と認識しており、その裏付けとなる小売需要を契約前の事前審査項目として設定している
  • 卸販売向けの供給力に限りがある中、小売需要に供する電気を広く供給することを目的に、小売需要計画の範囲内で卸売りをしている

などの意見が寄せられている。また、転売禁止条項については、需給変動によるやむを得ない転売は禁止条項の対象外、との回答も見られる。

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