小売電気事業者が、どのような期間、価格条件で発電事業者と契約するかは、小売事業者がその需要家と、どのような契約を締結しているかに大きく依存すると考えられる。今回のアンケートでは、小売契約期間に関する設問は無いが、需要家に提供する小売電気メニューの形態をたずねている。
アンケートで用いられた料金形態の選択肢と、筆者がグラフ化するために用いた略称は表1のとおりである。ただし、選択肢「その他」については割愛した。
また「5.スポット市場や時間前市場の価格と完全に連動するメニュー」とは、30分コマ単位ですべてのコマの料金が連動する設定だけでなく、1か月平均の市場価格と1か月の料金単価が完全に連動するといったメニューも含まれる。
電圧別に見た、需要家に提供する小売電気メニューの形態は、図10のとおりである。電圧区分を問わず、「エリアの旧一般電気事業者の燃料費調整単価に合わせて価格が変動するメニュー」が最多であるが、特高や高圧では、「スポット市場や時間前市場の価格と完全に連動するメニュー」がそれに次ぐ規模であることが分かる。
2024年度には、容量市場の容量拠出金の支払いや容量確保契約金額の受領が始まるほか、託送料金の発電側課金も開始される。発電事業者と小売事業者の間では、卸供給契約において、これらを適切に反映するための協議が必要となる。
新制度の開始が、新たな卸供給契約締結そのものの障害とならぬよう、国による環境整備が期待される。
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