卸供給契約において、転売禁止条項を設けている事業者は、北海道・東北・東電EP・北陸・関西・中国・沖縄の7社であるが、内外で異なる取り扱いをしている事業者は存在しなかった。
なお、7社のいずれも需給調整の結果として生じる余剰電力の売却(転売)は禁止していないが、新電力へのアンケート結果では、余剰電力の売却も禁止されているとの誤解が多く見られたことから、より明確な説明を行うことが要請された。
転売禁止は社内外で共通の契約条件であるため、内外無差別の観点からは問題なしと整理されたものの、内外無差別を超えた競争政策上の論点として、電力・ガス基本政策小委員会において検討が進められている。
卸供給契約において、エリア内限定の供給に係る条項を設けている事業者は、東北・関西・中国・沖縄の4社であるが、内外で異なる取り扱いをしている事業者は存在しなかった。
ここで東北電力は、エリア内需要による購入上限を設定した理由として、他エリアへの供給力の流出を危惧したこと等を挙げている。また、東北電力による購入上限の設定は、実績値ではなく計画値を基準としており、需要拡大予定の事業者は拡大後の必要量を購入できるため、新規参入者の事業機会の制限とはならない。
しかしながら、現時点、東北「発電」の入札販売量の全量を売りさばくためには、東北「小売」の落札が不可欠であるため、東北小売は最低価格(事前公表)で落札することが可能である。このため、実質的に自社小売部門に有利な条件となっていると判断された。
卸供給契約において、社内では売掛金リスクがないこと等を理由として、自社小売部門を与信評価の対象外としている事業者は、北海道・東電HD・北陸・関西・九州の5社であった。
東電HDは、外部機関の評価をもとに厳格な与信評価基準を設定しているが、応募者のうち7割超の外部小売事業者が与信基準をクリアできず、また、前払いや保証金といった選択肢や協議の機会も無いため、結果的に入札不可となった。なお、東電グループ内小売事業者は既存契約があるため入札に参加不要であるが、仮に参加する場合、新たな与信基準を満たしていないため、入札することが出来ない。
このような与信評価基準は不当に厳しいものと判断され、内外無差別の観点から問題ありとされた。
取引実績等の評価については、過去の特定時点における取引実績のみを評価するならば、実質的に新規参入者への門戸が閉ざされるため、監視委では、すべての社外小売に自社小売と同等の評価の機会を提供することが望ましいとしている。
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