EVの普及に欠かせない充電インフラ。その普及・整備の促進に向けて、政府は新たな「充電インフラ整備促進に向けた指針(案)」を公表した。その概要を紹介する。
EVの普及を通じた自動車分野のカーボンニュートラルの実現のためには、充電インフラの整備が不可欠である。
国はグリーン成長戦略において、2030年までに公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基設置するとの目標を掲げてきたが、さらなる取り組みの加速化のため、「充電インフラ整備促進に関する検討会」を設置し、検討を進めてきた。
検討会ではこれまで計6回の会合を経て、「充電インフラ整備促進に向けた指針(案)」を作成し、公表した。
指針では、「1.ユーザーの利便性向上」「2.充電事業の自立化・高度化」「3.社会全体の負担の低減」の3つの原則に基づき、世界に比肩する、利便性が高く持続可能な充電インフラ社会の構築を目指すとしている。
充電インフラ整備目標の策定にあたっては、諸外国の現状や今後の目標を参考とすべきであるものの、日本における車の使われ方や住宅の状況を最も重視する必要がある。
日本では、1日の平均走行距離(平日)は20kmであり、50km以下が約9割であるほか、乗用車保有台数のうち、軽自動車が約4割、小型車が3割を占めている。また、戸建て持ち家率は約53%であり、ドイツの28%など、欧州諸国と比較して相対的に高い水準にある。
このため、今後EV化が進んだ場合、求められる電池容量は相対的に小さく、自宅で充電できれば十分な場合が多いことも想定される。よって、まずは「基礎充電」ができる環境を作りつつ、必要な量の公共用充電器を整備していくことが重要と整理されている。
これまで国内では、約3万基(普通充電器:2.1万基、急速充電器:0.9万基)の公共用の充電設備が整備されてきたが、急速充電器の大半は50kW未満であるため平均的な出力は約40kWに留まるほか、普通充電器の大半は3kWである。
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