2023年度の容量市場メインオークションの結果が公表、市場分断の傾向は継続エネルギー管理(4/5 ページ)

» 2024年02月09日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

電源等の落札率と非落札電源の内訳

 2023年度オークションは過去のメインオークションと比べ、高い落札率となっている。全国の落札率を電源等の区分別に見ると、安定電源が落札率97.4%であったほか、変動電源(単独)・変動電源(アグリゲート)・発動指令電源では、いずれも落札率が100%であった。

 非落札となった安定電源418万kWの内訳を見ると、すべて火力であり、実需給の2027年度時点で経年40年以上となる電源の割合は20.9%であった。

図5.非落札電源の内訳 出典:広域機関

応札価格の平均・分布等

 全国の応札価格の加重平均は1,645円/kWであり、エリア・ブロック別に見ると、北海道エリア:4,551円/kW、東北エリア:504円/kW、東京エリア:2,027円/kW、中部エリア:2,258円/kW、北陸/関西/中国/四国エリア:695円/kW、九州エリア:2,570円/kWであった。

 また、電源等の区分別の応札価格の加重平均は、安定電源が1,753円/kW、変動電源(単独)が0円/kW、変動電源(アグリゲート)が29円/kW、発動指令電源が90円/kWであった。

 応札価格を、①0円、②〜Net CONEの50%以下、③〜Net CONE以下、④Net CONE超、の4つの区分にした応札価格の分布は図6の通りであり、「①0円応札」が最多の76.2%を占めている。

 容量市場メインオークションは原則シングルプライス方式であり、落札電源にはすべて同じ約定価格(例えば今回の関西であれば7,638円/kW)が支払われるため、実需給年度の稼働がすでに決定している電源は、必ず落札するために、0円で応札することが合理的である。

図6.応札価格の分布 出典:広域機関

 応札価格分布の4年間の推移を見ると、「①0円応札」が大半であることに変わりはないが、「④Net CONE超」の応札が減少すると同時に、「③Net CONEの50%超〜Net CONE以下」が大きく増加していることが分かる。このような応札価格の電源は、約定価格次第では休廃止を検討すると考えられるが、すでに一部の電源は休廃止の意思決定済みであることが、「④Net CONE超」応札量減少の一因であると考えられる。

表8.応札価格分布の推移(単位:万kW) 出典:広域機関資料を基に筆者作成
図7.応札価格分布の推移 出典:広域機関資料を基に筆者作成

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