改正省エネ法を契機に変わる企業対応、省エネ・非化石転換に関する新制度の動向小売事業者に関する情報開示からDR促進制度の動向まで(1/5 ページ)

改正省エネ法の施行など、カーボンニュートラル実現に向け、企業にも新たな対応が求められている昨今。省エネルギー小委員会の第44回会合では、エネルギー小売事業者から消費者への情報・サービス提供に関する新制度や、エネルギー消費機器のデマンドレスポンス(DR)対応、省エネ法定期報告情報の開示制度の在り方について議論が行われた。

» 2024年03月12日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2050年カーボンニュートラル実現に向けて、一層の省エネと脱炭素化が求められている。省エネ法は2022年の改正(2023年4月施行)により、従来の「エネルギーの使用の合理化(省エネ)」だけでなく、「非化石エネルギーへの転換」や「電気の需要の最適化」に関する措置が、法の目的に新たに加えられ、法の名称も「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」へと変更された。

 資源エネルギー庁の省エネルギー小委員会の第44回会合では、エネルギー小売事業者から消費者への情報・サービス提供に関する新制度や、エネルギー消費機器のDR(デマンドレスポンス)対応、省エネ法定期報告情報の開示制度の在り方について議論が行われた。

省エネコミュニケーション・ランキング制度の現状と課題

 家庭部門の一般消費者が省エネやDR(デマンドレスポンス)を実行するためには、専門的な事業者から適切な情報を得ることが必要となる。このため国は、2021年度から「省エネコミュニケーション・ランキング制度」を開始し、電気・都市ガス・LPガスのエネルギー小売事業者による情報提供やサービスの充実度を調査し、各社の取り組み状況を評価・公表している。

 公表の対象は、契約件数が30万件超、もしくは評価結果の公表を希望する小売事業者であり、例えば、小売電気事業者(89者)の2023年度評価結果は表1の通りである。

表1.小売電気事業者89者の評価結果(2023年度) 出典:省エネルギー小委員会

 小売事業者のランク水準(得点率)は星(★)の数で表され、電気分野では最高位の★5事業者が、2022年度の21者から30者へと増加し、事業者の平均点も78.2点(2022年度)から87.0点(2023年度)へと改善した。

 ただし、「省エネコミュニケーション・ランキング制度」への参加は、事業者の任意であるため、一定規模(契約件数30万件超)の事業者であっても未参加の企業が存在する。

 また、小売事業者の取り組みは「情報提供」の範疇に留まらず、創意工夫に富んだサービスも数多く提供されており、このようなベストプラクティスが適切に評価され、業界全体に広がっていくことが期待される。

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