省エネ法ではこれまでも、特定事業者(年間エネルギー使用量1,500kl以上)に該当する約12,000者に対して、エネルギー使用量等に関する毎年の定期報告を義務付けてきたが、企業の同意に基づき、これを一般公開する仕組みを2023年に創設した。
2023年度は、東証プライム上場企業及びその子会社を対象として、試行運用を実施しており、公開を宣言した47社と8つの省庁の情報が今年度末に公開される予定である。2024年度から参加する事業者の情報は、秋頃に速報版を公開する予定である。
本制度は、産業界全体の省エネ・非化石転換・DRの取り組みの底上げに向けて、より多くの事業者の参加が期待されるものである。このため、参加インセンティブの一つとして、省エネ法特定事業者については、本制度への参画宣言を、令和5年度補正予算省エネ補助金の申請時における要件とする。令和4年度補正予算における対象者数は約600者であり、同程度の参画宣言が期待される。
省エネ法では、毎年度の定期報告に基づき特定事業者を評価する「事業者クラス分け評価制度(SABC評価)」を実施している。
毎年、Sクラス(優良事業者)が5割強で最多であるものの、省エネが停滞している事業者(Bクラス事業者)も1割〜2割程度あり、Bクラスを継続する事業者が増加傾向となっている。
国はこれまでも、このような事業者に対して注意喚起を行うとともに、一部の事業者に対しては現地調査を行い、取り組みが不十分な場合は指導等を実施してきた。
国全体として一層の省エネが必要であることから、今後は、省エネが長く停滞する事業者(3〜4年連続でBクラス事業者)に対しては、その要因や改善の見通し等について追加的な報告を求め、現地調査において改善に向けた意見交換や助言を丁寧に行うなど、きめ細かな執行を検討することとした。
エネルギー原単位の悪化は、当該事業者のエネルギーコストの増加となっていると考えられるため、日本企業の競争力維持の観点からも、丁寧な支援が期待される。
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