改正省エネ法が求める「電気の需要の最適化(デマンドレスポンス)」を促進するためには、家庭にあるリソースとして、ヒートポンプ(HP)給湯器を活用することが有効と考えられている。現在、HP給湯機の省エネ目標基準は設定されているが、DRに向けた目標基準はなく、HP給湯機の規格自体もDRに対応できていない。また、一般的なHP給湯機は「夜間蓄熱機器」であるため、昼間へシフトできる電力使用量に制約があり、HP給湯機のDRポテンシャルを活用しきれていない。
このため資源エネルギー庁は、「DRready勉強会」を設置し、通信接続機能や外部制御機能、セキュリティ等、機器のDRready要件の検討を開始した。
機器のDRready要件を検討するにあたっては機器の本来用途(HP給湯器では給湯)を考えることが重要であり、HP給湯器においては、DRを加味した沸き上げ計画を事前に策定する必要がある。この一例として、DRサービスを行う事業者(DRサービサー)がDR可能量を機器等から取得し、その範囲内でDR指令を機器等に送信し、機器等がDR指令を加味した沸き上げ計画を作成することが想定される。
現時点、HP給湯器については表1のDRready要件(案)が示されており、今後、家庭用蓄電池やV2H(Vehicle to Home)機器についても順次検討を行う予定としている。
改正省エネ法では非化石エネルギーへの転換に関し、特定事業者に対して中長期計画書(定量的な目標の設定等)及び定期報告の提出を義務化している。
改正省エネ法施行後、初となる昨年度に提出された中長期計画書では、「太陽光発電の導入」を計画している事業者が最も多く(3割超)、次いで「非化石比率の高い電気メニューの選択」が2割超であった。
今後、事業者に対して非化石エネの利用をさらに促すため、屋根置き太陽光発電を念頭に、定期報告書の様式に、再エネ設置「余地」に着目した要素を加えることを検討予定としている。
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