応札不足と非常時への対応を両立、需給調整市場の一次調整力供出可能量の考え方を見直しへ第49回「需給調整市場検討小委員会」(1/4 ページ)

大幅な応札量不足・約定量の未達が発生している「需給調整市場」。電力広域的運営推進機関では、一次調整力の供出可能量の考え方について見直しの検討を開始した。

» 2024年08月14日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2024年4月から需給調整市場が全面開始されたが、一次調整力を始めとする多くの商品で大幅な応札量不足・約定量の未達が発生している。

表1.一次調整力 未達率の動向(2024年4〜6月) 出典:制度検討作業部会

 高速な調整力で対応すべき周波数変動について、2023年度までは「調整力公募」により調達した周波数調整機能を有する発電機のガバナフリー(GF)幅を活用していたのに対して、需給調整市場では、一定の商品要件・技術要件を規定した一次調整力を募集している。

 この制度変更により、同じ発電機であっても2024年度以降は、一次調整力として供出可能な設備量が減少する場合があり、9エリア分の総量を比較すると、一次調整力設備量は「GF幅」の5割程度に留まることが報告されている。

 このため、広域機関の需給調整市場検討小委員会では、一次調整力とGF機能の商品要件等を比較したうえで、一次調整力の供出可能量の考え方について見直しの検討が行われた。

図1.「GF幅」と一次調整力設備量の比較 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

「一次調整力」の概要

 需給調整市場で取引する商品としての「一次調整力」は、ゲートクローズ(GC)から実需給断面における時間内変動・予測誤差等に対応する「平常時対応の調整力」としての役割と、電源脱落に対応する「異常時対応の調整力」の2つの側面を持つ商品である。

図2.発電機の周波数制御機能 出典:需給調整市場検討小委員会

 需給調整市場全5商品の中で最も急峻(きゅうしゅん)な周波数変動に対応する一次調整力は、自端制御(GF)、応動時間10秒以内、継続時間5分、並列必須といった商品要件や技術要件を定めている。

表2.一次調整力の商品要件・技術要件 出典:需給調整市場検討小委員会
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