大幅な応札量不足・約定量の未達が発生している「需給調整市場」。電力広域的運営推進機関では、一次調整力の供出可能量の考え方について見直しの検討を開始した。
2024年4月から需給調整市場が全面開始されたが、一次調整力を始めとする多くの商品で大幅な応札量不足・約定量の未達が発生している。
高速な調整力で対応すべき周波数変動について、2023年度までは「調整力公募」により調達した周波数調整機能を有する発電機のガバナフリー(GF)幅を活用していたのに対して、需給調整市場では、一定の商品要件・技術要件を規定した一次調整力を募集している。
この制度変更により、同じ発電機であっても2024年度以降は、一次調整力として供出可能な設備量が減少する場合があり、9エリア分の総量を比較すると、一次調整力設備量は「GF幅」の5割程度に留まることが報告されている。
このため、広域機関の需給調整市場検討小委員会では、一次調整力とGF機能の商品要件等を比較したうえで、一次調整力の供出可能量の考え方について見直しの検討が行われた。
需給調整市場で取引する商品としての「一次調整力」は、ゲートクローズ(GC)から実需給断面における時間内変動・予測誤差等に対応する「平常時対応の調整力」としての役割と、電源脱落に対応する「異常時対応の調整力」の2つの側面を持つ商品である。
需給調整市場全5商品の中で最も急峻(きゅうしゅん)な周波数変動に対応する一次調整力は、自端制御(GF)、応動時間10秒以内、継続時間5分、並列必須といった商品要件や技術要件を定めている。
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