応札不足と非常時への対応を両立、需給調整市場の一次調整力供出可能量の考え方を見直しへ第49回「需給調整市場検討小委員会」(3/4 ページ)

» 2024年08月14日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

GF機能の供出可能量

 2023年度までの調整力公募では、一般送配電事業者各社の募集要綱において発電設備の性能としてGF調定率・GF幅の要件を定めていた。

表3.調整力公募におけるGF要件(東京電力PGの例) 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

 調定率に応じたGF供出可能量については、大規模停電に至るような大幅な周波数低下事象に対応できる量とされている。今回の試算では、大規模停電に至る周波数低下を▲1.0Hzと仮定している。

 電源脱落による周波数低下は10秒程度で最大となる(周波数低下の底に達する)ことから、時定数10秒とすると、電源脱落発生から10秒後のGF供出可能量は、調定率に応じた応動幅の63.2%の出力増加となる。

 火力機の調定率が5%の場合、定格容量に対するGF供出可能量は、基準周波数50Hzにおいて、【1Hz /(50Hz × 5%)× 63.2%】= 25.3%となる。また、火力機と比べ高速な応答ができる揚水発電機の調定率を3%と仮定する場合、定格容量に対するGF供出可能量は、基準周波数50Hzにおいて、【1Hz /(50Hz × 3%)× 63.2%】= 42.1%となる。

 さらに、一般的に火力機では周波数低下時の出力増加の上限として負荷制限(ロードリミット)が設定されているため、機械的限界としてのGF幅が、GF供出可能量を決定する要因の一つとなる。他方、揚水発電機では、機械的限界としてのGF供出可能量は最低出力〜定格容量までを見込むことができる。よって、揚水の最低出力を50%と仮定すると、GF供出可能量は定格容量の50%程度になる。

 GF供出可能量は、調定率と機械的限界のうち、いずれか小さい方で制約が掛かるため、火力では機械的限界が、揚水機では調定率がGF供出可能量の制約要因となる。

表4.GF供出の制約要因とGF供出可能量 出典:需給調整市場検討小委員会

 ここで表4を起点として、現在の一次調整力技術要件に従い、異常時(0.2Hz周波数低下)の10秒後供出可能量を試算すると、火力機(調整率5%)・50Hzの場合、【0.2Hz /(50Hz × 5%)× 63.2%】= 5.1%、揚水機(調整率3%)・50Hzの場合、【0.2Hz /(50Hz × 3%)× 63.2%】= 8.4%、となる(表5の右列)。火力機は元々、機械的限界5%が制約であるため、実質的な供出可能量はあまり変わらないが、揚水の供出可能量は大きく目減りしてしまう。

 同じ発電機であっても、考え方が変更されることにより調整力供出可能量が激減することは合理的とは言えないため、現行の一次調整力要件の見直しについて検討が行われた。

表5.一次要件における供出可能量の減少 出典:需給調整市場検討小委員会

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