事業用太陽光の工事費は、近年の労務費単価上昇の影響もあり、小規模案件では横這い、もしくは上昇傾向も見られるなど、工事費の増減にはばらつきが生じている。今後は、施工技能向上による効率化が期待されるものの、導入適地の減少によるコストアップも予想されることから、工事費等の想定は、足下のコストから変化せず現状維持と仮定した試算を行う。
その他、廃棄費用については、事業用は1万円/kW、住宅用は建設費の5%と現状維持と仮定する。設備利用率は近年上昇が進んでいるものの、将来的には出力制御による影響も考えられることから、現状維持と仮定する。運転維持費も現状維持とする。
陸上風力のモデルプラント規模は、直近3年間における1,000kW以上のFIT認定案件の中央値の水準を採用し30,000kWとして、稼働年数は20年・25年とする。
陸上風力の2040年建設費について、IEA「World Energy Outlook(WEO)」(2023)を参照すると、2023年から2040年へのコスト低減率は7〜9%となる。この低減率は接続費を含む建設費の低減率であるため、足下のモデルプラントの建設費(31.9万円/kW)に接続費(0.3万円/kW)を加えた値(資本費:32.2万円/kW)に低減率を乗じることで、将来の建設費(接続費込み)が29.2〜29.9万円/kWとなる。ここから接続費(0.3万円/kW)を減じることで、将来のモデルプラントの建設費は28.9〜29.6円/kWと算出される。
陸上風力の運転維持費、設備利用率については、現状(足下のモデルプラント)維持を「基本ケース」とし、IEA WEO(2023)の予測どおりに維持費の低下(低減率5〜6%)、利用率の改善(9%程度の上昇)が進むケースを「参考ケース」として試算する。
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