改正省エネ法では、いわゆる省エネだけでなく、「電気の需要の最適化(デマンドレスポンス)」を求めており、工場等(特高・高圧)については、2023年4月以降、DR実績の定期報告が制度化されるなど、DRを促す措置が導入されてきた。
他方、家庭や小規模なオフィス(低圧)では、一件あたりのDR量が少なく費用対効果に劣るため、大規模な工場等と比べてDRリソースの活用が遅れていることが課題とされている。
DRを手作業で実施することは手間となるため、多数の低圧DRリソースを活用するためには、自動的にDRが実施される環境整備が必要とされている。2026年度以降、需給調整市場において低圧小規模リソースの活用が可能となり、低圧DRリソースを活用してサービスを行うアグリゲータ等も増加している。残された課題は機器面での環境整備であり、今後は、住宅等に設置される様々なリソースに遠隔制御機能が標準的に具備される「DR ready」環境の創出が必要とされている。
このため、省エネ法の「トップランナー制度」を参考として、ヒートポンプ給湯機等の製造事業者等に対して、目標年度までにDR ready機能を具備した製品の導入を求める仕組みを新たに導入することとした。
国は、対象となるエネルギー消費機器等を指定した上で、DRに活用するために必要な機能(DR ready要件)の具備に関し、製造事業者等の判断の基準となるべき事項を定め、公表する。また目標年度や達成すべき出荷割合を定め、その達成を求めることとする。
現在の省エネ法では、輸送事業者・荷主に対する規制として、貨物及び旅客を事業として運送する自動車と、貨物を運送する自家用の自動車(トラック等)を制度対象としている。他方、企業等の自家用乗用車や自家用バス等は、エネルギー使用の合理化・定期報告の対象とされておらず、これらのCO2排出量は年間3,300万トン程度と推計されている。
今後は、企業等の自家用乗用車や自家用バス、二輪車等が使用するエネルギーについても定期報告の対象として、中長期的なエネルギー消費原単位の年平均1%以上の低減を促すとともに、合理化目標や非化石エネルギー転換目標の達成のための中長期計画の作成を求めることとする。
新たに報告対象となる自動車等については、輸送に関する従来の算出方法や報告方法と同様に、使用するエネルギーを、エネルギー種ごと(揮発油や電気)の報告に計上する。
なお定期報告では、「エネルギーの使用の合理化に関する事項」「電気の需要の最適化に資する措置に関する事項」「非化石エネルギーへの転換に関する事項」の欄等に、自社の取組を記載することも可能とする。
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