発電を終了した太陽光パネルは、電力系統からの切断後に太陽光発電設備から取り外される。先述のように、廃ガラスのリサイクルには一定の品質が求められるため、パネル取り外しの際にガラス面の割れなどが生じた場合、再資源化に支障が生じる可能性がある。
このため、太陽光パネルの適正な取り外しを確保するための方策についてもあらかじめ整理しておく必要がある。
解体工事が建設リサイクル法の対象建設工事に該当する場合、受注者に対して特定の建築資材の分別解体及び再資源化等が義務付けられており、同法施行規則により、太陽光パネルの取り外し手順が定められている。
全国解体工事業団体連合会では、太陽光パネルの撤去について、機械によるミンチ解体の禁止(人力による撤去以外は違反)を明確化するよう強く求めている。
太陽光パネルガラス面の割れなどを防ぐためには、取り外したパネルを適正に収集運搬することも重要である。また、円滑な再資源化の実施には、コスト効率的な収集運搬を行う仕組みの整備も求められる。
福岡県と福岡県リサイクル総合研究事業化センターでは、「廃棄太陽光パネルスマート回収システム」を2021年から運用しており、排出事業者、収集運搬業者、リサイクル業者等が、廃棄パネルに関する情報(保管量、保管場所、種類)をクラウド上の支援ソフトで共有し、点在する廃棄パネルを効率的に回収、リサイクルする仕組みを構築している。
将来的には大量の廃棄パネルの回収が想定されるが、現在はまだ廃棄量が少ないため、複数の保管場所を巡回する「スマート回収」が効率的である。よって福岡県では、小口の排出事業者向けに、廃棄パネルを一定量・一定期間保管可能な中間集積場(積替え保管場所)の整備・指定などが有効と考えている。しかしながら廃棄物処理法では、積替保管を行う場合は、保管上限が1日当たりの平均搬出量の7日分に制限されているため、福岡県では、一定量・一定期間の保管が可能となるよう、規制緩和を提案している。
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