合成燃料は、火力発電所や大気中から回収したCO2を原料として取り込み、燃料として使用(燃焼)する時点でCO2を排出する「カーボンリサイクル燃料」の一つである。
EU再生可能エネルギー指令(RED)では非バイオマス由来の再生可能燃料(RFNBO)に関するGHG排出量の基準を規定しており、日本でも国際的に遜色のない合成燃料のGHG排出量の基準を設けることが求められている。
このためGHG排出量の算定範囲は、EUや国際民間航空機関(ICAO)の基準を参考として、原料製造から燃料燃焼まで(Well to Wheel)のライフサイクル全体とする。
また、GHG排出量を比較すべき化石燃料(ベースライン)としては、液体化石燃料のうち最も需要量が大きいガソリンとする。すでにエネルギー供給構造高度化法においては、バイオエタノールのGHG排出量削減基準として、ガソリンのライフサイクルGHG排出量88.74g-CO2e/MJを使用しているため、合成燃料についてもこれを基準として使用する。なお、EUの基準値は94.0g-CO2e/MJである。
また、ベースラインからの削減率としては、同じく高度化法バイオエタノールでは▲55%以上と定めていることから、合成燃料についても削減率を▲55%以上とする。この場合、合成燃料の炭素強度(Carbon Intensity:CI)は39.9g-CO2e/MJとなる。EUの削減率は▲70%であるため、CI値は28.2g-CO2e/MJとなる。
なお、高度化法バイオエタノールのGHG排出基準及び削減率は、間もなく定期見直しが予定されており、合成燃料についても見直しが行われる可能性がある。
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