DXの進展は、DCの規模拡大や半導体工場の増加等による、電力消費量の増加を招くと考えられる。他方、DXの進展は産業や業務、家庭等のエネルギー効率を改善させる(省エネ)とともに、デマンドレスポンス等のエネルギー利用の最適化にも資すると考えられる。
また、DXの効果はエネルギーに留まらず、幅広い生産性の向上、産業競争力の強化などにもつながると期待される。例えば、JFEスチールでは、AIを活用して鉄の圧延前の加熱炉の利用を最適化し、炉長の短い#3炉の活用比率を上げることにより、工程全体として少ない燃料での稼働を実現している。
デジタル技術を活用することで、まずは既存の生産プロセスのエネルギー利用の最適化を進めつつ、次第に対象範囲の拡大や技術の高度化を進めることが求められる。
他方、これまで日本が得意としてきた「すり合わせ」による高付加価値製品の製造ノウハウが、AI等により容易に海外でも展開が可能となるなど、日本でしか出来ない工程は次第に縮小していくことも想定される。生産プロセスそのものの見直しを伴う変革を先取りすべく、幅広いDXの活用が求められている。
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