送配電設備の運用効率化の状況は? 一般送配電各社の計画進捗が公開第9回「送配電効率化・計画進捗確認WG」(2/4 ページ)

» 2025年06月25日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

一送による設備仕様統一の取り組み

 一般送配電事業者(一送)では、調達のスケールメリットや管理コストの低減、工法・工具の統一による生産性向上などを目的として、これまでも設備仕様の統一化を進めてきた。設備仕様の統一と同時に仮復旧工法の統一により、災害時に全国的な復旧支援が行いやすくなるなどレジリエンスの向上にも役立つものである。

 一送は、鉄塔等の主要設備から仕様統一を開始し、現時点では送変配電設備における年間資材費約5,300億円のうち約63%(約3,370億円)について検討が完了しており、現在もさらなる仕様統一を検討中である。

図3.送変配電設備における仕様統一の実績 出典:送配電網投資・運用効率化委員会

 なお「仕様統一」は、仕様の単一化だけでなく、個別仕様の多さに起因するメーカー負担を軽減するための標準化(パターン化)も含まれる。

発注形態の工夫に関する取り組み

 一送各社では、調達する資機材や工事の特徴に応じて、「予報発注」や「まとめ発注」、「総合評価方式」を中心に、適切な発注形態を組合せ、発注を行っている。特にスケールメリットが働くと考えられる架空送電線については、一送10社で仕様統一を行った上で、まとめ発注や共同調達が実施されている。

表2.発注形態の工夫 出典:送配電網投資・運用効率化委員会

 ただし、一定以上の物量を共同調達対象とすると購入市場を独占していると認定されるおそれがあることや、購入カルテル類似の行為ないし優越的地位の濫用と疑われるおそれがあるなど、独占禁止法抵触のリスクがあることも指摘されている。

保全の高度化に向けた取り組み

 一般送配電事業者は、送配電設備の故障・事故の予防のため、巡視点検を行っており、その際発見した不具合箇所の補修を実施している。また、1970年代に建設した多くの送配電設備が更新時期を迎えることから、今後、更新工事物量の増加が見込まれる一方、少子高齢化により、工事会社の施工力不足が懸念されている。

 このため一送各社では、電力保安のレベルを維持し電力の安定供給を確保するため、ドローンやデジタル技術の活用による業務の省力化・高度化に向けた取り組みを進めている。

図4.保全高度化の取り組み事例 出典:送配電網投資・運用効率化委員会

 デジタル化や機械化等による業務改善は、人的作業の負担軽減につながり、サステナブルな人材確保への好循環が期待される。

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