従来、一部のLPガス事業者では、LPガスの小売契約獲得を目的として、ガス器具や電気エアコン、インターホン、Wi-Fi機器等の設備をアパートオーナー等の不動産関係者に「無償貸与」することが行われていた。これらの設備費用は、アパート入居者が支払うLPガス料金から回収するため、LPガス料金が高額かつ不透明となる一因となっていた。
このため改正施行規則では、新規契約についてはエアコン等の設備費用をLPガス料金へ計上することを禁止(賃貸住宅では、ガス器具等の費用も禁止)するとともに、新規・既存契約のいずれも、基本料金、従量料金、設備料金からなる三部料金制(設備費用の外出し表示)を義務付けている。
WG事務局では、事業規模が大きい事業者を中心に、全国約370社の三部料金制・設備料金の外出し表示の状況について調査したところ、約2割の事業者において、システム改修が間に合わなかった等の理由により、未対応であることが明らかとなった。LPガス事業者は全国で15,000社以上あるため、未対応の事業者はさらに多いと推測される。
また、三部料金の費用項目の一つである「設備料金」の名称としては、設備料金、設備使用料、設備利用料、消費設備料金、設備費相当額などが用いられていた。
回答者のうち約3割が設備料金を計上・表示しており、設備料金の水準としては、1契約あたり100〜300円程度が多数であった。他方、本来は設備料金を計上・表示すべき「無償貸与」を行っている事業者も「0円」又は「該当なし」と表示していたため、規制当局において、その理由の調査や改善指導を行っている。
三部料金制の目的は、LPガス料金の透明性を高めつつ、費用回収のあり方を適正化することにある。国や自治体では制度改革の目的を踏まえ、立入検査マニュアルの見直しを行いながら、LPガス事業者の指導・監督を行っていく予定としている。
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