LPガス業界の商習慣是正に向けた法改正から1年――三部料金制への対応は道半ば第12回「液化石油ガス流通WG」(3/4 ページ)

» 2025年07月04日 08時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「LPガス商慣行通報フォーム」に寄せられた情報

 資源エネルギー庁では、LPガスの商慣行是正に向けた取組の一環として、「LPガス商慣行通報フォーム」(LPガスの取引適正化に関する情報提供窓口)を2023年12月に開設している。

 改正法令施行前の2024年7月1日時点における通報フォーム情報提供件数は約1,200件、改正法令施行後の同年7月2日から2025年5月末までに寄せられた情報提供は約1,700件に上る。通報フォームは匿名による情報提供も可能であるが、情報提供者が不利益を被ることがないよう、情報管理を徹底する等の十分な配慮をもって運用が行われている。

図4.都道府県別 情報提供件数(2024年11月〜2025年5月末) 出典:液化石油ガス流通WG

 2024年11月から2025年5月末までに寄せられた984件(平均約140件/月)の情報提供者を属性別にみると、LPガス事業者からの情報提供が66%、消費者が22%、不動産関係者が4%であった。また、LPガス事業者による行為に関する情報提供は全体の85%、不動産関係者による行為は8%、ブローカーなど他事業者による行為は8%であった。

 規制当局は通報情報を端緒として、任意ヒアリングや液化石油ガス法に基づく報告徴収、立入検査等を行っている。

業界による自主的取組の公表状況

 WG中間とりまとめでは、LPガス事業者による自主的かつ積極的な商慣行是正に向けた取組を促す方策として、LPガス事業者自らが改正制度を順守すること等を宣言し、消費者が宣言済みの事業者かどうかを知ることができるよう「見える化」することを提案していた。

 制度改正前から自主的取組宣言を公表するLPガス事業者は徐々に増加しており、2025年5月末時点では2,668者、事業者全体の18%に上る。ただし、表2のように地域(都道府県)による差が大きく、大分県では宣言率は100%に達している。

表2.自主的取組宣言を行った事業者数 出典:液化石油ガス流通WG

 自主取組宣言の内容としては、「1.法令順守、組織体制及び顧客への説明」「2.顧客以外の関係者への関係構築」「3.社会への貢献」について言及しているものが多い。

 なお液化石油ガス法では、LPガス事業者は消費者と販売契約を締結する際、LPガスの料金算定方法などの情報等を記載した書面を交付することが義務づけられている。LPガス業界団体では、改正省令の施行を踏まえ、既存顧客に対しても当該書面を再交付することを推奨事項として決定している。

 LPガス事業者が商慣行是正に取り組んだ結果、社員のモチベーション向上、オーナーや不動産関係者との信頼関係構築や取引拡大、投資コスト減少に伴う利益率向上・LPガス料金の引き下げなど、良い成果を挙げた事業者の事例も報告されている。

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