国(各府省庁)や独立行政法人等が財やサービスを購入・使用する場合、「一般競争契約」とすることが原則である。現在、電気の供給を受ける一般競争契約では、入札参加要件を設定(裾切り方式)した上で、最低価格を入札した者が落札者となる「最低価格落札方式」を採用している。
電力専門委員会では、電気供給契約における排出係数の低減、再エネの導入拡大等を一層促す観点から、価格と価格以外の要素との総合評価で最も優れた者が落札者となる「総合評価落札方式」の導入に向けた考え方を整理した。
まず現在の裾切り方式では図5のように、排出係数、未利用エネルギー活用状況、再エネ導入率を必須項目(いずれも事業者単位)として、省エネ情報等の加点項目の合計が、70点以上の事業者が入札に参加可能となる。
現行方式の評価項目及び配点をそのまま単純に総合評価に当てはめたイメージが、表2である。現在の裾切り方式の場合、⑤合計点が70点以上であればA〜D社に差は生じないため、最低価格を入札したD社が落札者となる。仮に総合評価とする場合、B社は最高価格でありながら、総合評価点で1位となるため、落札者となる。
表2はあくまで一つの例であり、実際には評価項目や計算式にどのようなものを採用するかによって、各社の順位は変わることとなる。
総合評価落札方式において、評価点を算出する計算方式には、「加算方式」と「除算方式」があり、「加算方式」は研究開発など技術をより高度に評価したい場合に採用され、仕様が明確な一般的な入札では「除算方式」が多く採用されている。電気の供給を受ける契約では、「除算方式」が適していると考えられる。
「除算方式」を採用する場合、評価項目として「標準点(基礎点)」と「加点項目」を検討する必要があり、最低限満たすべき項目及び水準を標準点とすることにより、実質的に裾切り要件となる(例:評価項目を満たす場合100点、満たさない場合0点)。
仮に裾切り要件を完全に無くしてしまうと、著しく排出係数の高い小売事業者が低価格で落札する可能性があるため、環境省事務局では、今後も最低限の入札参加資格は必要と考えている。
現時点、事務局資料では表3のような評価項目案を示しており、CO2排出係数については、小売電気事業者全体を対象とするかメニュー別とするか、両論が併記されている。現時点、非化石証書は安価であり、排出係数の低い料金メニューを作ることは容易であるため、メニュー別排出係数を採用する場合、より多くの小売事業者に入札参加の機会を与えることとなる。
例えば北海道エリアで最大の小売電気事業者である北海道電力は、2023年度排出係数は0.532kg-CO2/kWhと排出係数しきい値(0.520)を超過しているが、他のメニューは排出係数が0であり、入札に参加可能となるため、応札者不足という混乱を回避できると考えられる。
他方、加点項目としての排出係数については、事業者全体の排出係数で評価することにより、削減努力を適切に評価することを想定している。
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