次世代型地熱発電のコスト目標は12〜19円/kWhに 政府支援策の方針も策定へ第2回「次世代型地熱推進官民協議会」(2/3 ページ)

» 2025年07月24日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

日本における次世代型地熱の発電コスト目標

 2025年の発電コスト検証WGにおいて、「従来型」地熱発電のコストは、2023年時点及び2040年時点のいずれも、16.1〜16.8円/kWh(政策経費あり)、10.9円/kWh(政策経費なし)と試算されている。試算の前提としたモデルプラントは、設備容量3万kW、設備利用率83%、所内率11%、稼働年数40年であり、建設費79万円/kW、運転維持費3.3万円/kW/年と設定している。

図3.「従来型」地熱発電コストの内訳(2023年・2040年) 出典:発電コスト検証WG

 また現時点、大規模地熱のFIT導入量は少ないものの、定期報告データによると、1,000-15,000kW規模の11案件の資本費平均値は126万円/kW、運転維持費平均値は6.9万円/kW/年と報告されている。これをkWhコストに換算すると(40年稼働・割引率を考慮せず)、資本費4.33円/kWh、運転維持費9.49円/kWh、合計13.82円/kWhとなる。なお1件のみであるが、46,199kW案件の資本費は61万円/kW、運転維持費は4.4万円/kW/年と報告されている。

 資源エネルギー庁事務局では、次世代型地熱技術の発電コストは、可能な限り早期に従来型地熱の発電コストを切る水準を達成しつつ、他電源と比べ遜色のない水準として、将来的に12円/kWh〜19円/kWhの発電コストを目指すこととした。ただし、現時点、政策経費の扱いは明確ではない。コスト目標の具体的な達成時期は今後の検討としている。

図4.国内での次世代型地熱の発電コスト目標 出典:次世代型地熱推進官民協議会

次世代型地熱発電を推進する上での資源量の考え方

 地下資源量は、その開発段階等に応じてさまざまな定義が当てはまる。資源エネルギー庁では、石油・天然ガス分野の資源量の考え方を参照し、“現時点では開発不可”とされる「潜在資源量」を、次世代型地熱ポテンシャル(77GW)と定義することとした。資源量のさらなる定義については、今後「地熱発電推進に関する研究会」において、従来型・次世代型の双方を対象に検討を行う予定としている。

表1.地熱資源量の考え方 出典:次世代型地熱推進官民協議会

 資源エネルギー庁では、この「潜在資源量」を「期待資源量」や「条件付き資源量」への格上げに向けて、技術開発や実証等の支援を行う予定としている。

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