これまで建築物の省エネ政策については、基準の整備、建築主の届出義務制度、省エネ性能表示制度、設計者の建築主への説明義務制度など、ステップ・バイ・ステップで施策が講じられてきており、約半世紀をかけて、戸建住宅を含めた全ての新築建築物への省エネ基準適合の義務化が施行された。
よって、建築物LCCO2削減についても同様の考え方に基づき、第1ステップは2028年度の着実な制度開始を目指し、LCCO2評価及び自主的削減が一般的に行われるための環境整備を進めるため、統一的な算定・評価ルールの策定、LCCO2評価の実施を促すための緩やかな規制的措置の導入、ニーズを踏まえた誘導的措置、を一体的に講ずることとした。
まず規制的措置としては、5,000m2以上の非住宅建築物に対してLCCO2の自主的評価及び国への届出を義務付け、設計時から自主的削減の検討を促すこととする。また2,000m2以上の非住宅建築物を設計する設計者に対して、建築主へのLCCO2評価結果及び削減措置について説明を義務付けることとする。5,000m2以上の非住宅建築物は総排出量の5%、2,000m2以上の非住宅建築物は総排出量の25%をカバーする規模である。
また誘導的措置としては、住宅も含めたLCCO2評価結果に係る第三者評価・表示制度を創設するとともに、建築物のLCCO2評価や建材・設備CO2等排出量原単位整備に対して支援を行うこととする。なお国が建設する庁舎等については、制度の開始前からLCCO2評価を先行的に実施することとしている。
本制度開始後5年以内に、第2ステップとして、「評価・表示」の対象規模・用途の拡充を行い、第3ステップでは、第2ステップで講じた措置についての段階的な強化を図ることが想定されている。
現在、国における統一的なLCCO2算定ルールや評価基準が存在しないため、削減に向けた検討や設計内容による比較が困難といった課題がある。よって国は、日本の設計・施工等の実情も踏まえた統一的なLCCO2算定ルールを構築することとした。
建築物のLCCO2算定に用いることができる建材・設備CO2等排出量原単位としては、
などがあるが、事業者の削減努力を適切に評価する観点から、個社製品データ等の整備・充実を図り、これらデータの活用を促していくべきとしている。
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