昨今のインフレや円安の影響で再エネの導入コストも上昇傾向にあり、新規電源の開発にも影響が出始めている。調達価格等算定委員会では足元の状況について業界団体になどにヒヤリングを実施するとともに、2026年度以降の調達/基準価格への対応方針をまとめた。
2025年3月末時点におけるFIT/FIP認定容量は10,318万kW、2012年のFIT制度開始後に新たに運転を開始した再エネ設備容量は8,294万kWに上る。再エネ特措法は、再エネ電源の将来的な経済的自立を前提とした制度であり、太陽光発電等では大きなコストダウンが進んできたことにより、FIT調達価格/FIP基準価格も順次、引き下げられてきた。
しかしながら、昨今のインフレや円安により、再エネの導入コストも上昇傾向にあり、新規の再エネ電源開発が困難となりつつある。
資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会では、再エネ業界団体等に対して、現状のコスト動向や自立化に向けた取り組み、国への要望等についてヒアリングが行われた。
国内の太陽光発電は、2030年エネルギーミックス(10,350〜11,760万kW)の水準に対して、2025年3月末時点のFIT前導入量+FIT・FIP認定量は8,030万kW、導入量は7,680万kWに上る。平地面積あたりの太陽光設備容量は世界トップの573kW/km2である。
太陽光発電(PV)の自立化には、発電単価(LCOE)が環境価値を含む事業収入単価を下回ることが不可欠であり、太陽光発電協会からは、太陽光発電コストの現状及び事業用太陽光自立化シナリオ(地上設置)が報告された。表1の「現状2025年度」列の数値は、2024年度時点からの変化を示しており、このインフレ下でも一定のコストダウンが進んでいる。
パネル変換効率の向上により、DC容量当たりの設置面積が低減する。現時点の変換効率23%と比べ、2030年の26%であれば設置面積は12%低減、2035年の26%であれば設置面積は18%低減するため、これにより、基礎や架台の資材・工事費の低減も可能となる。また維持管理費の低減については、今年度から開始された「長期安定適格太陽光発電事業者」制度の活用によるO&Mの集約化が次第に進むと想定される。
収入面を見ると、表1の売電単価は昼間帯にJEPXスポット市場価格が安くなる「キャプチャー価格」を反映しているが、再エネ出力制御の影響は考慮されていない。
両面受光型(ダブルガラス)パネルの垂直設置等により、朝晩の発電量増加と出力制御の低減が期待され、2030年には地上設置PVの10%、2035年には地上設置PVの30%が「垂直設置」型PVになると想定されている。
環境価値については、現状の非化石証書価格0.4円/kWhから、2030年・2035年時点ではIEA「World Energy Outlook 2023 APSシナリオ」のカーボンプライスを参照した5.6〜6.4円/kWhを想定している。
太陽光発電の自立化に向けては、FITからFIPへの移行が重要であり、発電事業者・アグリゲーター・需要家のさらなる連携が求められる。
なお、住宅用太陽光発電(10kW未満)の新規導入は、FIT開始後に一旦減少したが、近年は住宅着工件数の減少のもとでも増加傾向が続いている。これは電気料金の上昇により、自家消費メリットが高まったためと考えられる。ただし、国は2030年までに新築住宅の太陽光発電設置率を6割にする目標を掲げており、この達成にはさらなる対策が必要と考えられる。
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