国内の風力発電は、エネルギーミックス(2,360万kW)の水準に対して、現時点のFIT前導入量+FIT・FIP認定量は1,940万kW、導入量は650万kWに留まる。
日本風力発電協会(JWPA)からは、同協会会員に対して実施されたアンケート結果に基づき、陸上風力発電事業のコスト動向や未稼働事業の状況等が報告された。コスト動向アンケートの回答数は、サプライヤー(風車メーカーやEPCコントラクター等)26事業者、発電事業者から58事業である。
まずコスト動向に関するサプライヤーのアンケート結果については、2021年比で2025年に人件費は2割、原材料費は3〜4割上昇しており、その他の調達費も含め、2030年に向けてさらなる上昇が想定されている。
2024年12月末時点におけるFIT/FIP認定取得済みかつ未稼働の陸上風力は10.2GWと報告されており、JWPA会員の発電事業者はこのうち8GW程度を占めている。未稼働事業に関するアンケートは、2025年7月末時点でFIT/FIP認定取得済みかつ未稼働の陸上風力発電事業に対して実施され、回答数は123事業、6.95GWであった。
このアンケートでは、約4GW(58%)は「運転開始期限を超過」、0.92GW(13%)は「事業継続困難」との回答であった。さらに、「運転開始期限を超過」のうち1.65GW(24%)は認定失効リスクがあり、「事業継続困難」の0.92GWと合計すると2.57GW(37%)に達する。このままでは、2030年度エネルギーミックスの達成は困難と懸念される。
「運転開始期限を超過」又は「事業継続困難」の状況になった要因(複数回答)は、「地元との合意形成」との回答が最も多く、2GW強を占めており、次いで、風車等のコスト増加の回答が多い。
陸上風力の自立化に向けては、案件の大規模化が資本費及び運転維持費双方のコスト低減に有効であり、風車の大型化は設備利用率の改善に有効であるが、案件・風車の大型化は、「地元との合意形成」を一層困難にするおそれもある。
調達価格等算定委員会では、すでに2026年度と2027年度の入札上限価格が設定されているが、今回のJWPAコスト動向アンケート結果の中央値を用いて同条件で試算すると、発電単価は20円/kWh程度となる。
JWPAではこれまで「Wind Vision」において、2030年の陸上風力導入量26.6GWを前提として、発電コスト8〜9円/kWhの見通しを示してきたが、足元のコスト上昇及び導入量減少を踏まえ、陸上風力の中長期的な発電コスト見通しを来年度にかけて再検討し見直す予定としている。
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