環境省 地球温暖化対策課長の杉井威夫氏は、経済産業省の小林氏から示されたエネルギー政策の説明を受けて、異なる観点から話を進めた。
昨年、エネルギー基本計画とともに、地球温暖化対策計画および日本のNDC(温室効果ガス排出量の削減目標)が公表されたことに触れ、2035年、2040年に向けた目標はいずれも「世間で言われている以上に困難で、野心的なもの」だとの認識を示した。そして、この目標を達成するにあたっては、「短期的にも中長期的にも最も効果を発揮するのが太陽光発電である」として、その重要性を強調した。
現行の2030年目標については、残された期間が少ないこともあり、「太陽光発電なしには達成は困難」と述べ、「引き続き飛躍的な導入を進めていくこと」が最優先課題であるとした。2025年11月に開催されたCOP30にも言及し、トランプ大統領によりアメリカがパリ協定から離脱するという動きがあったが、国際的な気候変動対策の枠組みは堅持されていると説明。加えて、「米政府代表団は来なかったが、米企業や米自治体は多数参加していた」とCOP30の様子を伝えた。
ビジネス分野に目を向けると、企業自身の温室効果ガス排出量を削減するだけでなく、サプライチェーン全体での排出削減が重要視されており、スコープ3の削減数値公表が義務化されようとしていると現状を説明。GHGプロトコルにおいても、“追加性”のある再エネ導入が重視され、「新たな太陽光発電の設置が評価の前提になりつつある」と述べた。
こうした状況を踏まえ、太陽光発電は企業が直面する課題への解決策として不可欠な存在であるとして、「自然と共生し、地域住民の理解を得た発電事業」の重要性を改めて強調した。加えて、自家消費型太陽光の導入拡大や、中小企業がバリューチェーン全体で連携して進める取り組み、これまで設置困難だった屋根や壁面など新たな設置場所の活用についても、積極的に推進していくことを表明した。
さらに、将来の大量廃棄を見据えたパネルのリサイクルに関して、引き続き制度設計を進めるとともに、技術支援を含めたサポートを強化していくと述べた。最後に、これまで話してきたことは業界の協力なしには実現できないとし、再エネ主力電源化に向けた官民連携を呼びかけた。
国土交通省 住宅局 建築環境推進官の宮森剛氏は、住宅・建築物は我々の生活と経済活動の基盤であるとした上で、「太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーは、省エネや脱炭素のみならず、住宅性能を構成する重要な要素になっている」との認識を示した。
人口や世帯数の減少、空き家の増加、担い手不足、外国人居住者の増加など、住宅政策を取り巻く環境が大きく変化している中で、将来世代に引き継ぐ住宅ストックの在り方についても検討。住生活基本計画の改定や、建築物の中長期ビジョンについて審議が進められていると住宅・建築物行政の現状を紹介した。
住宅・建築物における太陽光発電の推進策としては、住宅トップランナー制度を見直し、大手ハウスメーカーを中心に高い目標を設定してもらい、太陽光発電設備のさらなる設置を促すこと、自治体と連携して再エネ促進区域を拡充し、再エネ設備を含むZEH・ZEBの支援を強化していくことなどを挙げた。
さらに今後のステップとして、建築資材の製造段階、施工、そして解体に至るライフサイクル全体でのCO2削減を進めていくことを表明。「2028年の制度化に向けて、5000m2以上の事務所ビルについて、ライフサイクルカーボンを算定し、国への届出を義務化する」などの方針について説明した。「ライフサイクルCO2削減に向けては、当然ながら再生可能エネルギーの活用が不可欠」として、太陽光発電業界の発展を祈念した。
経済産業省、環境省、国土交通省、それぞれの発言に共通していたのは、「太陽光発電の導入拡大は依然として不可欠であり、政策の追い風は止まっていない」という明確なメッセージだった。ただし、その追い風は、かつての量的拡大一辺倒の時代とは性格を異にしている。
地域共生、環境配慮、ライフサイクルでの価値──太陽光発電には、より高い質と社会的信頼が求められる段階に入ったと言える。市場の成熟は、裏を返せば産業としての真価が問われる局面でもある。技術、ビジネスモデル、地域との関係性を磨き上げることで、太陽光発電は名実ともに「主力電源」としての地位を確立していくはずだ。
2026年は、再構築が続く制度・政策を、逆風ではなく新たな追い風とし、さらなる成果を実らせるための1年にしていかなければならない。太陽光発電業界はいま、FITスタート以降、最大の転換期を迎えている。
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