バッファ管理で、想定外のトラブルを乗り切る――スケジュール管理の手順を図解する結果を出して定時に帰る時短仕事術

計画は立てても、いつもスケジュール通りに終わらない――。所要時間の見積もりやスケジュール管理はとても重要なビジネススキル。本来であれば、将来の不測の事態に備え、トラブルに対応できるように余裕のあるスケジュールを組みたいものです。そんな「バッファ」を意識したスケジュールの立て方を図解で説明しましょう。

» 2010年10月04日 12時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 計画は立てても、いつもスケジュールオーバーになってしまう人は、ビジネス上の信頼を失いかねません。それゆえ所要時間の見積もりやスケジュールの管理はとても重要なビジネススキルです。本来であれば、将来の不測の事態に備え、トラブルに対応できるように余裕のあるスケジュールを組みたいものです。そのために設定するのが「バッファ」です。

余裕のないプロジェクトで遅延を起こさないために

 バッファとは「緩衝材」という意味ですが、時間管理においては「遅れたスケジュールを取り戻すために使われる予備時間」を指します。

 プロジェクトの締め切りに余裕があるケースは少なく、多くの場合、非常にタイトです。しかし、各タスクの目標完了時間を「最短」に設定して「バッファをプロジェクト全体で管理する」と、想定外のトラブルに備えることができます。ポイントは、タスクごとにバッファを設定するのではなく、プロジェクト全体で設定し、タスクの完了時間自体は最短で設定することです。

 本来、マイルストーンは、最初のステップとして設定すべきですが、スケジュールがものすごくタイトな場合は、各プロセスのバッファを後半に集中させるため、マイルストーンの設定が最後になることもあります。

 実際にスケジュール管理の手順を見ていきましょう。まず、プロジェクトのスタートとデッドラインを決めます(図1)。

 次にマイルストーンを決めるのですが、多くの場合は、マイルストーンの日取りは各プロセスの完了日との兼ね合いで決まるため、まずは最小作業単位であるタスクの洗い出しと所要日数、プロセスの流れを可視化することが先決です(図2)。

 続いて並行して行えるプロセス、先行して着手できるプロセスをピックアップして、並列処理させます(図3)。

 各プロセスの所要時間は作業担当者が想定するバッファを見込んでいるものです。しかし、バッファ時間をパートごとに消費すると、余計にバッファ時間がかかってしまいます。作業者は基本的にバッファを設定されると、かならずそれを使い切ってしまいます。

 そのため、さらにスケジュールを短縮したい場合は、最短の所要時間の合計値に対して、プロジェクト全体でバッファ時間を設定すると無駄がありません(図4)。各プロセスが予定どおり完了すればOK、遅延すれば全体のバッファ時間から差し引いていくという寸法です。

 その上で、マイルストーンとなる日を決定し、関係者で共有します(図5)。

 プロジェクトのスケジュール管理は、立場の異なるさまざまな人が関わる分、時間管理の中でも非常に難しい類のスキルですが、基本を押さえておけば、無理なく、進められるはずです。できるプロジェクト管理者の多くは、こうしたバッファの管理がうまい人です。ぜひ、皆さんも現在進行中のプロジェクトスケジュールを見直してみてください。

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著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

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