14年ぶりの全面刷新 マーケティング基盤に進化する「資生堂ウェブサイト」(2/2 ページ)

» 2010年04月01日 08時00分 公開
[藤村能光,ITmedia]
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 回遊性の強化も狙った。資生堂の全商品を掲載する「カタログページ」を増やし、サイト構造も簡略化。通常の商品は1クリック、情報量が多いマキアージュの商品も3クリックで情報にたどり着けるようにした。カタログページの横には関連するバナー広告を表示し、手動で更新する。サイト内の情報を漏れなく伝えることに焦点を当てている。

image テスティングオンラインのイメージ

 利用者の満足度を高める施策として、「テスティングオンライン」と呼ぶ新たな機能も採用した。入力された顔写真から目や口などの形や位置を分析し、顔の作りに適した化粧を画像に施す。「写真そのものに化粧ができるツールは従来からあったが、顔のパーツまで分析できるものは業界初」と五十嵐氏。競合する美容サイトにはない機能で、利用者の増加を狙う。

 サイト構造をシンプルにし、回遊性を強化させ、他社サイトでは得られない質の高い情報を提供する――。これが資生堂ウェブサイトの設計で目指した方向性だ。

売り上げにつながるWebサイトに

資生堂 経営企画部の五十嵐一栄氏 経営企画部の五十嵐一栄氏はWebサイトの刷新に経営視点を取り入れ、「マーケティングプラットフォーム」というコンセプトを導き出した。

 五十嵐氏は「やっとWebサイトの基盤を整えた段階」と資生堂ウェブサイト刷新後の感触を話す。今後は顧客のニーズに対応できるよう美容情報のコンテンツを増やし、自社メディアとしての機能を拡充していく。テスティングオンラインの機能も強化し、利用者と双方向にコミュニケーションをするオンラインカウンセリングも実施していく予定だ。

 「資生堂ウェブサイトは企業の顔であり、資生堂そのもの」と五十嵐氏は話す。今回の刷新は、サイト構造の見直しや情報の集約など、Webサイト作りに求められる基本要素を1つずつ作り直したとも言い換えられる。その根底には「Webサイトの使い勝手を良くすれば、顧客のロイヤルティが向上し、最終的には商品の販売につながる」(五十嵐氏)という考えがある。

 資生堂はWebサイトの全面刷新により、同社のマーケティング活動を担う場所(マーケティングプラットフォーム)をWebに再構築した。情報提供が主な目的だった企業サイトの役割は、ここに来て、売り上げや利益といった経営への貢献に変わりつつあるようだ。

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