東北地方太平洋沖地震、シリコンウェハ生産量の25%に影響――米IHS iSuppli

信越化学工業と米MEMCのシリコンウェハ工場が操業を停止していることで、世界生産量の4分の1が供給されなくなっている。

» 2011年03月22日 13時54分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

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 米調査会社のIHS iSuppliによると、日本で3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響で、半導体の材料であるシリコンウェハの世界生産量の4分の1が供給停止している。同社が3月21日(現地時間)、被災した工場などの状況について報告した。

 世界のシリコンウェハ生産の25%を担う信越化学工業の信越半導体白川工場と米MEMC Electronic Materialsの宇都宮工場が操業を停止している。

 信越化学の白川工場ではフラッシュメモリやDRAMなどのメモリ製造に必要な300mmウェハを生産しており、その生産量は世界全体の20%を占める。同社は日本だけでなく世界のメーカーに製品を供給しているため、世界の半導体業界への影響は大きいとiSuppliはみている。

 信越化学は被災した工場以外の施設での生産システムの構築を予定しているが、被災した工場の復旧にどのくらいの時間がかかるかは不明だと発表した。

 世界のシリコンウェハ生産量の5%を占めるMEMCの宇都宮工場は、地震発生後従業員を避難させ、操業を停止している。同社は当面は製品供給を行わないとしている。

 また、プリント基板(PCB)用主要素材、銅張り積層板の世界供給量の70%を担う2つの日本企業、三菱ガス化学と日立化成工業が供給停止を発表した。両社は2週間以内に生産を再開するとしている。iSuppliはプリント基板に関しては完成品が潤沢にあり、業界への影響は少ないとみている。

 DRAMメーカー、エルピーダメモリの秋田工場も地震による停電で操業を停止していたが、16日に操業を再開した。同社によると、DRAM生産におけるパッケージ組み立ておよびテストの9割以上は海外で行っており、今回の操業停止による事業への影響は軽微という。

 その他、ルネサスエレクトロニクスのウェハ生産能力の40%、富士通のウェハ生産能力の50%が損傷を受けた。

 なお、米Appleのタブレット「iPad 2」の部品を供給する旭化成エレクトロニクス系列の米AKM Semiconductorは、iPad 2向けの電子コンパスの生産拠点は延岡にあり、今回の地震の影響は受けないとしている。IHS iSuppliは17日に発表したiPad 2のサプライチェーンに及ぼす地震の影響についての報告の中で、電子コンパスの供給源としてAKMの代替を探すのは難しいとしていた。

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