ストリートモードの応用と言えるのが、ハンズフリー通話時の「テレフォンモード」だ。こちらは話している“自分の声”を2つの内蔵マイクで拾い、ヘッドフォンの内蔵ユニットから出すというもの。「ストリートモードにすると自動でオンになり、周囲がうるさいときでも大声を出す必要がなくなります」。
テレフォンモードをアシストするのが「骨伝導センサー」だ。といってもユーザーの声を伝えるためではなく、声のもっとも低い周波数帯域を検知するために設けたという。つまり、外部の雑音と自分の声を区別し、ノイズカット時のフィルタリング精度を向上させる仕組み。なお、骨伝導センサーは左ハウジングの前方に入っているというが、残念ながら外からはよく分からない。
同様にセンサーを使った機能として、先代Zikにもあった「プレゼンスセンサー」を継承している。これは、パッド内側のセンサーでヘッドフォンをユーザーが装着しているかどうかを検知するセンサーだ。ヘッドフォンを外すと自動的にミュートがかかって音漏れを防いでくれる。「先代は装着時にオンする仕組みだけでしたが、今回はオン/オフの両方に対応しました」(同氏)。
このほか、iPhoneやAndroidスマートフォンに内蔵されている「Siri」やGoogle音声認識を起動し、電話の発信などを音声だけで行う機能もある。さらに「パロットならでは」というテキスト読み上げ機能では、電話帳に入っている人から着信があった場合にスマホの画面を見なくても相手が分かるという。例えば『クリス・ロバーツから電話です。出ますか? 拒否しますか?』と通知してくれるという。
これらの多彩な機能は、スマートフォンやタブレットの画面で設定と操作が行える。専用アプリでは、バッテリー残量の確認からノイズキャンセリング機能のコントロール、イコライザー機能、プリセットイコライザーの切替などが可能。いずれもスワイプなどのシンプルな操作になっている。
「このアプリには2つのビジョンがあります。1つは直感的な操作を可能にすること。もう1つはユーザーコミュニティーへのアクセスです」。
パロットでは、世界中のアーティストから協力を得て、アーティストの好みのプリセットを作成。ユーザーはスマートフォンなどで無料ダウンロードし、楽曲再生時に利用できるようにした。現在は米国のヒップホップアーティスト、DJ Jazzy Jeff(米国)をはじめ、Andrew Watt、Richard Dorfmeister、Philippe Cohen Solalの5人分をラインアップしている。
さらにユーザー自身がプリセットを作成することも可能。指1本で周波数帯域やエフェクトを選択し、それを音楽ジャンルやアルバム(トラック単位)、アーティスト名などでタグ付け。保存しておけば、該当する楽曲を再生したときに自動的に適用されるという。それをユーザーコミュニティで公開し、仲間とシェアすることも可能だ。
専用アプリは今のところiOS版とAndroid版のみだが、年内にはWindows 8.1版も登場する予定だという。
高度な信号処理技術を用いて多くのユニークな機能を実現した「Zik2.0」。日本のユーザーにはヘッドフォンとドローンが有名な同社だが、実はDSP技術をメインに扱っているという。「われわれはDSPを中心としたソフトウェアカンパニーです。20年前の1994年に創業し、現在では自動車の音声認識機能などで独自の地歩を築いています」とロバーツ氏。「Zik2.0」の多機能ぶりには、相応のバックボーンがあった。
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