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今度こそ日本発売も! パナソニックの有機ELテレビはここがスゴいCES 2017

» 2017年01月04日 19時09分 公開
[山本敦ITmedia]

 1月5日から米国のラスベガスで世界最大のエレクトロニクスショー「CES 2017」が始まる。現地時間3日の夜にはパナソニックが欧州と日本のメディア向けに記者会見を開催し、4K有機ELテレビ「EZ1000」シリーズとUltra HD Blu-rayプレーヤーの新製品3機種を発表した。今回は4K有機ELテレビに関する詳細を報告しよう。

CESの記者会見に展示された「65EZ1000」

 新製品の「65EZ1000」シリーズはパネルサイズが65V型。パナソニック、アプライアンス社テレビ事業部長の品田正弘氏によれば、「今回は日本での展開も視野に入れて開発を進めているテレビ」であるという。発売時期については欧州は2017年の6月を予定している。なおEZ1000シリーズは欧州向けの型番になるが、日本国内では他のパネルサイズも含めた展開もどうやら期待ができそうだ。

パナソニックの品田氏(右)と村山氏(左)
EZ1000シリーズの外観。高級感のあるデザインに仕上がっている

 2015年から欧州で発売されていた現行機種の「CZ950」シリーズは曲面の有機ELパネルを採用している。今回発表のEZ1000はフラットパネルになり、最新世代の有機ELパネルが搭載される。輝度はCZ950の450nitsに対して、EZ1000は800nitsと約2倍の高輝度化を実現。「アブソリュート・ブラック・フィルター」により深い黒色を再現する。

最新の映像処理プロセッサー「Studio Colour HCX2」を搭載
3DルックアップテーブルのICは通常と異なり2基を搭載。1つをスタジオプロフェッショナル用としてカスタマイズができるように開放している

 映像処理プロセッサーも最新世代の「Studio Colour HCX2」を搭載。ハリウッドのスタジオで活躍するエンジニアが画質のチューニングに参加している「スタジオリファレンス」の高画質を特徴にうたう。なお、パネルが再現できる色域についても、CZ950のカバー率90%から、新機種ではほぼ100%に近づけている。なおHDRについては「HDR10」と「HLG」の両方を発売時からサポートする。

 色彩の再現力を高めるため、パナソニックのプロ用映像機器や放送モニターで採用されてきた3Dルックアップテーブルのノウハウを新しいHCX2プロセッサーにも搭載。3DルックアップテーブルのICを2基搭載し、1つはコンシューマーの視聴用、もう1つはスタジオプロフェッショナル専用に設けて、いまも引き合いの強いスタジオリファレンスモニターとして使えるように設計した。エンジニアが独自にプログラミングした3Dルックアップテーブルを登録して画質評価に使う用途を見込んでいる。カラーキャリブレーションはISFやCalMANをベースにした調整も可能だ。

 「新しい有機ELはデザイン性とオーディオ再生の品質にもこだわった」と語るのは同社海外マーケティング本部 AVCマーケティングセンター テレビマーケティング部 部長の村山靖氏だ。

 EZ1000は65V型ディスプレイの下に別筐体(きょうたい)のスピーカーユニットを配置するユニークなデザインを採用している。スピーカーの音は同社のテクニクスブランドのHi-Fiオーディオ製品を開発するエンジニアがチューニングを手がけたという。そのユニークな形状は「ダイナミック・ブレード・スピーカー」と名付けられた。

スピーカーはテクニクスのチームがチューニングを担当した

 スピーカーボックスは音場を効果的に広げられるよう、やや上に向けてスラントしたデザインとなる。中には合計14個のスピーカーユニットが搭載されている。2つのツイーター、4つのミドルレンジに8つのウーファーという3Way構成まで採るこだわりようだ。総合出力80Wのアンプでパワフルに駆動する。

本体のボトムにスピーカーを別筐体で配置して音質にもこだわった

 村山氏は記者会見で、「欧州で発売したCZ950はパナソニックのプラズマを唯一置き換えられるテレビとして、プロの方々を含めて広く支持されてきた」と紹介。ハリウッドのメジャースタジオをはじめとする映像製作の最前線でリファレンスモニターとして活躍し、さまざまな作品を生み出してきたと強調しながら、EZ1000シリーズをその正統な後継機として位置付けた。

 記者会見にはハリウッドのスタジオでカラーリスト(デジタル映像の色彩調整のスペシャリスト)として活躍するDADO VALENTIC氏も列席。EZ1000シリーズの高いポテンシャルについて、デモを交えながらコメントした。

ハリウッドのカラーリスト、DADO VALENTIC氏もEZ1000の画質に太鼓判を押した

 VALENTIC氏によれば、いまハリウッドのスタジオでも、アーティスティックな映像をこだわって作った後も、コンシューマーがホームシアターで視聴するテレビでも忠実に再現できるようになったことで、制作者の志気が高まっているという。「HDR映像のチューニングは、シネマスクリーンよりも鮮やかな光と色が再現できるテレビでどう再現するかという点で、いま私たちにとっては非常に手強いが、やりがいのある仕事になっている。これまでは正確な色再現ができる大型のリファレンスモニターが存在しなかったが、パナソニックのCZ950の活躍に続く形で、新しいEZ1000が登場することをとても頼もしく思う」と、VALENTIC氏は新製品の登場にエールを贈った。

 デモンストレーションではEZ1000による4K/HDR映像のデモンストレーションも行われ、VALENTIC氏が「明るい色を再現するのは簡単だが、本当に難しいのはローエンドのブラックに始まる黒の階調性を再現することだ」と解説を交えながら新製品の特徴を語っていた。試作機では新しいHCX2プロセッサーにより再現される、非常にノイズの少ないみずみずしい映像や、明部の階調性をきめ細かく引き出せるパナソニックの新しい有機ELテレビのパフォーマンスの一端が確認できた。日本発売の正式アナウンスが待ち遠しい限りだ。

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