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アイロボットジャパン社長に元ボーズの挽野元氏――ルンバは世帯普及率10%を目指す

» 2017年04月11日 19時13分 公開
[ITmedia]

 ロボット掃除機「ルンバ」や「ブラーバ」を製造・販売する米iRobotは4月11日、日本法人アイロボットジャパン合同会社の代表執行役員社長に元ボーズ社長の挽野元氏が就任したと発表した。同日行われた説明会であいさつに立った挽野氏は、「ルンバは日本市場で累計200万台超を販売しているが、世帯普及率としては4%ほど。伸びる余地はまだまだある」と語った。

アイロボットジャパン合同会社の代表執行役員社長に就任した挽野元氏。ボーズ入社前は20年間にわたりヒューレット・パッカードに在籍。日本のイメージング・プリンティング事業担当副社長などの要職を経験した

 iRobotが最初のルンバを発売したのは2002年。2年後には、セールス・オンデマンドを代理店として日本市場に参入し、国内ではシェアトップを維持し続けている。2016年10月末には累計販売台数200万台を突破。しかし、iRobotは同時期にセールス・オンデマンドから国内におけるiRobot製品の販売事業を買収し、4月に日本法人を設立すると明らかにした。

米iRobotの会長兼CEOのコリン・アングル氏

 好調だった体制をあえて変更する理由について、iRobotの会長兼CEOのコリン・アングル氏は、「iRobotを立ち上げてしばらくは他国で投資するだけのスケール(事業規模)がなく、代理店にその役割を担ってもらっていた。しかしiRobotは成長し、十分な時間とリソースが確保できる。われわれは真のグローバル企業になろうと決めた」と説明。同社は中国でも2016年に現地法人を立ち上げるなど市場ごとの体制を強化しており、日本法人もその一環となる。「日本は北米に次ぐ重要な市場。今後も日本市場への投資を続け、コンシューマーロボティクスの先頭に立ちたい」

 もう1つ、同氏が強調したのは、各市場のニーズを把握して製品開発に生かすことだ。国や地域によって異なる住環境に対応することでロボット掃除機をブラッシュアップする考え。例えば昨年発売したふき掃除ロボット「ブラーバジェット 240」は、一度に掃除できる面積こそ従来機には及ばないものの、コンパクトなボディーにスプレー(水の噴射)や振動機能を搭載して清掃力を向上させた“アジア市場向け”の製品だった。「われわれはコンシューマー向けロボットの経験を積み、技術と“ユーザーのつながり”が重要だと分かった。アイロボットジャパンを設立して日本のユーザーとより良い関係を構築していく」

床ふきロボットの進化

 挽野氏によると、アイロボットジャパンは「顧客ニーズを捉えた製品開発」「ロボット掃除機のさらなる普及促進」「ユーザーとの継続的な関係性の強化」を3本柱としてビジネスを展開するという。ボーズ時代には、日本、中国、インド、韓国、東南アジアなどの営業・販路拡大を行い、複数年連続して二桁成長を達成した実績を持つ挽野氏。ロボット掃除機の普及拡大というミッションに対しては「目標は世帯普及率10%。日本のユーザーにもルンバやブラーバを使って、より充実した時間を過ごしてほしい」と話している。

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